お初/徳兵衛(読み)おはつ/とくべえ

朝日日本歴史人物事典 「お初/徳兵衛」の解説

お初/徳兵衛

元禄16(1703)年4月に大坂曾根崎で心中した男女。事件の翌月大坂竹本座で上演された人形浄瑠璃曾根崎心中」(近松門左衛門作)の当たりによって,後世まで長く知られるところとなった。実説は,天満屋の遊女お初のなじみである平野屋徳兵衛に結婚話がもちあがったことなどでふたりは別れねばならない事態となり,それを苦に曾根崎の森で果てたというもの。この事件を脚色した近松の「曾根崎心中」は,若い男女の純愛一流の流麗な筆致で美しくうたいあげる。ことに道行名文誉れが高い。ちなみに同作は町人社会の出来事をあつかった世話浄瑠璃嚆矢である。

(品川隆重)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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