かつらぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「かつらぎ」の意味・わかりやすい解説

かつらぎ(町)
かつらぎ

和歌山県北部、伊都(いと)郡にある町。1958年(昭和33)伊都町、妙寺(みょうじ)町、見好(みよし)村が合併して成立。2005年(平成17)花園(はなぞの)村を編入。和泉(いずみ)山脈の葛城(かつらぎ)山の南麓(なんろく)にあり、新町名はこれによる。町域は紀の川を挟んで高野山(こうやさん)西麓から南麓にまで及ぶが、北岸の段丘部以外ほとんど山地である。紀の川に沿ってJR和歌山線が通じ、北岸を通る大和(やまと)街道(国道24号)の宿場であった妙寺、笠田(かせだ)を中心とし、古くは南海道萩原(はぎはら)駅もあり、西高野街道(国道480号)が分かれる。また、中部を国道370号が横断し、南端を高野龍神スカイライン(国道371号)が走る。笠田は中世京都高雄(たかお)神護(じんご)寺領であった桛田荘(かせだのしょう)で、文覚上人(もんがくしょうにん)開削の文覚堰(せき)があり、また歌枕(うたまくら)として知られた妹背山(いもせやま)がある。紀の川の南岸は旧高野山領で、天野(あまの)には式内社丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)(世界遺産「紀伊山地霊場と参詣(さんけい)道」〈文化遺産〉の一部として登録)がある。山麓ではカキミカンの栽培が行われ、観光農園も多い。花園地区では林業がみられる。面積151.69平方キロメートル、人口1万5967(2020)。

[小池洋一]

『『かつらぎ町史』全3巻(1983~1995・かつらぎ町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「かつらぎ」の意味・わかりやすい解説

かつらぎ[町]

和歌山県北東部伊都郡の町。2005年10月旧かつらぎ町が花園(はなぞの)村を編入して成立した。人口1万8230(2010)。

かつらぎ町北部の旧町。人口2万0331(2000)。北は大阪府に接する。紀ノ川中流に位置し,北部は和泉山脈南部は紀伊山地北縁の山地,中央部は紀ノ川沿いの発達した河岸段丘からなる。町名は和泉山脈の主峰葛城山にちなむ。大和街道の道筋に当たり,街道沿いに集落が形成される。西流する紀ノ川に並行して国道24号線,JR和歌山線が通る。ミカン,富有柿などの果樹栽培を中心とした農業を基幹産業とし,四郷地区の串柿は有名。ジュース,缶詰類の食品加工業,紀ノ川の良質な伏流水を利用した古くからの清酒,しょうゆなどの醸造業や織物業も盛んである。町域の一部はかつらぎ高野山系県立自然公園に属し,西端には《万葉集》にも詠まれた妹背山がある。旧官幣大社丹生都比売(にゆうつひめ)神社があり,楼門と本殿は重要文化財,社宝の銀銅蛭巻太刀拵は国宝に指定されている。また宝来山神社本殿も重要文化財に指定されている。

かつらぎ町南部の旧村。伊都郡所属。人口614(2000)。有田川最上流部,高野山南麓に位置し,東は奈良県に接する。多雨地帯のため良質の杉,ヒノキを産する。1953年の大水害では111人の人命と1/3の民家を失い,廃村の危機に直面したが,その後復興。東部は高野竜神国定公園に属し,高野竜神スカイライン(2003年無料開放)が通る。当地に伝わる御田植神事の御田舞は重要無形民俗文化財に指定されている。
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百科事典マイペディア 「かつらぎ」の意味・わかりやすい解説

かつらぎ[町]【かつらぎ】

和歌山県北部,伊都(いと)郡の町。中部の紀ノ川流域に主集落の妙寺,笠田(かせだ)があり,和歌山線が通じる。農業が主で,特にミカン,カキ,モモ,ブドウなど果樹栽培が盛ん。ミカン缶詰工業,清酒,しょうゆの醸造業も行われる。南部の山地一帯は高野竜神国定公園に属する。2004年紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産条約の文化遺産リストに登録された(丹生都比売神社,高野山町石道)。2005年10月伊都郡花園村を編入。151.69km2。1万8230人(2010)。

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デジタル大辞泉プラス 「かつらぎ」の解説

かつらぎ

奈良県葛城市にある道の駅。一般国道166号に沿う。

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世界大百科事典(旧版)内のかつらぎの言及

【桛田荘】より

…紀伊国伊都郡(現,和歌山県伊都郡かつらぎ町)の荘園。笠田荘とも書く。…

※「かつらぎ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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