かや(読み)カヤ(その他表記)Japanese plum-yew
Japanese nutmeg tree
Torreya nucifera Sieb.et Zucc.

デジタル大辞泉 「かや」の意味・読み・例文・類語

か‐や[連語]

[連語]係助詞「か」+間投助詞「や」》
(多く「とかや」の形で)不確定な伝聞または推定の意を表す。…とかいうことだ。
「例の、独りごち給ふと―」〈蜻蛉
体言活用語連体形に付いて、疑問または反語の意を表す。
「そもこの衣の御主とは、さては天人にてまします―」〈謡・羽衣

かや[終助]

[終助]終助詞「か」+間投助詞「や」から》体言・活用語の連体形に付き、感動詠嘆を表す。…ことだなあ。
うれたき―、大丈ますらをにして、いやしきやっこの手を被傷ひて報ひずしてみなむと」〈神武紀〉

カヤ(Kaya)

ケニア南部、モンバサ以南のインド洋沿岸部に点在する森林に囲まれた集落跡。16世紀から17世紀頃にバンツー族系のミジケンダ諸族が移住し、19世紀半ばまで居住していた。現在は諸族の起源神話に結びつく宗教上の聖地として保全されている。2008年、「ミジケンダのカヤの聖なる森林群」の名称で世界遺産文化遺産)に登録された。

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精選版 日本国語大辞典 「かや」の意味・読み・例文・類語

か‐や

  1. [ 一 ] ( 詠嘆の終助詞「か」に間投助詞「や」の付いたもの ) 感動、詠嘆の意を表わす。…ことだな。
    1. [初出の実例]「慨哉、大丈夫(ますらを)にして〈慨哉、此をば于黎多棄伽夜(うれたきカヤ)と云ふ〉」(出典:日本書紀(720)神武即位前戊午年五月)
  2. [ 二 ] ( 係助詞「か」に間投助詞「や」の付いたもの )
    1. ( 多く「とかや」の形で ) 不確実な伝聞または不定の意を表わす。
      1. [初出の実例]「落ちぐりとかや、何とかや、昔の人のめでたうしける袷の袴一具」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸)
    2. 疑問または反語の意を表わす。
      1. [初出の実例]「時の間もながらふべき我が身かや。とても思ひに堪へかねば」(出典:太平記(14C後)一一)

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改訂新版 世界大百科事典 「かや」の意味・わかりやすい解説

カヤ (榧)
Japanese plum-yew
Japanese nutmeg tree
Torreya nucifera Sieb.et Zucc.

暖地の森林中に散生するイチイ科の常緑針葉樹。社寺の境内などにしばしば大木を見る。高さ25mにもなる高木で,小枝は対生する。葉は螺生(らせい)するが横枝では2列状となり,線形で長さ1.5~2.5cm,先はとがって触ると痛い。雌雄異株で,4~5月に開花し,雄花は前年枝の葉腋(ようえき)に単生して楕円形,おしべは4輪生して多数,雌花は新枝の下部葉腋に2個ずつつく。このうち1個のみが翌年の秋に石果様に熟し,楕円形で長さ約3cm。初め完全に包んでいる紫赤色の仮種皮を割って浅い縦条のある核(種子)を現す。岩手・山形両県から屋久島までと済州島の暖帯林中に散生する。本州日本海側の温帯多雪山地には高さ2mばかりの低木となる変種チャボガヤvar.radicans Nakaiが見られる。材は黄白色で,辺・心材の区別が不明りょうであり,加工性・保存性が高く水湿にも耐えるので,建築・器具・土木用に供されるが,とくに大径木の柾目材は碁盤として最高級品であり,宮崎県産が名高い。種子は胚乳に脂肪油の含有が多く,良質の食用油や整髪油がとれ,食用・薬用にもなる。

 カヤ属Torreyaは北米に2種,中国大陸に3種あるが,分布は限られていることが多い。シナガヤT.grandis Fort.の種子はカヤと同様に食用にされ,薬用にも利用される。
執筆者:



カヤ (茅/萱)

ススキ,オギ,チガヤなど,主として屋根をふく材料に用いられるイネ科の植物の総称。古来〈刈屋(かりや)の約〉とか〈上屋(かや)の意〉などその語源について諸説があるが,金思燁によれば〈茅〉にあたる古代朝鮮語が,母音子音ともに日本語の〈カヤ〉に対応しており,朝鮮語に基づく可能性が強い。
執筆者: カヤの茎葉は牛馬の飼料や炭俵の材料のほか,とくに屋根ふき材として用いられた。以前は,屋根ふきのために,部落でカヤ野を共有している場合が多かった。そのなごりである〈かやの〉という地名が各地にある。屋根をふくには多量のカヤと労力を必要とし,1軒だけでカヤを集めたり,屋根をふいたりできないため,カヤ講やカヤ無尽といった協同組織を作って,毎年1,2軒ずつ順に屋根ふきをしていった。カヤを刈り取った翌年良質のカヤを得るためには,晩秋にカヤ野を焼き尽くさねばならず,カヤは一種の作物と見なされ管理されていた。
ススキ
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「かや」の意味・わかりやすい解説

カヤ(イチイ科)
かや / 榧
japanese plum-yew
[学] Torreya nucifera (L.) Sieb. et Zucc.

イチイ科の常緑針葉高木。大きいものは高さ36メートル、直径2.5メートルに達する。樹皮は青灰色、滑らかで、老木では薄く縦にはがれる。若枝は緑色。葉は水平に2列に並び、線形で過半部が膨らみ、先は鋭くとがり、厚くて堅く、表面は濃緑色で光沢があり、裏面の中央脈の両側には2本の黄白色の気孔線がある。雌雄異株。雄花は黄色で楕円(だえん)形をなし、裏面の葉の付け根に並んで多数開く。雌花は小枝の先に群がってつき、柄はなく、数層の細かい鱗片(りんぺん)があり、中央に1個の胚珠(はいしゅ)がある。果実は長さ2~3センチメートル、径1~2センチメートルの楕円形で、肉質の仮種皮で全部覆われ、初め緑色、翌年9~10月ごろ熟して紫褐色となる。種子は楕円形、淡褐色で堅く、木質で両端がとがる。材は木理がまっすぐ通り、堅硬、緻密(ちみつ)で美しい。弾性が強く加工が容易で耐腐朽性も強く、建築、器具、船舶、車両、彫刻などに利用され、とくに碁盤、将棋盤には珍重される。木は庭園樹とする。

 陰樹で、日陰地でも稚樹が生え、適潤地によく育ち、谷あいなどでもっともよく育つ。本州、四国、九州および朝鮮の済州島に広く自生する。名は、古名カヘの転訛(てんか)であるという。漢字名の榧は中国産の別種であるが、慣用で日本産カヤにも使われる。変種のチャボガヤはおもに日本海側の山地に分布し、低木状で枝からよく発根し叢生(そうせい)する。

[林 弥栄]



カヤ(イネ科)
かや / 茅

屋根を葺(ふ)く材料とするイネ科(APG分類:イネ科)植物のこと。ススキを主とするが、カルカヤ、キツネガヤなども用いる。

[編集部 2019年8月20日]


カヤ(海産動物)
かや / 榧

腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱のうちの有鞘類(ゆうしょうるい)で、ハネガヤ科、シロガヤ科などに属する海産動物の総称。ウミカヤ(海榧)ともいう。これらはいずれも群体をつくっており、その群体の形が植物のカヤの木の枝に似ているので、このようによばれる。一見、植物と見間違うようなものであり、ハネガヤ、シロガヤ、アカガヤ、クロガヤ、ドングリガヤ、ツツガヤ、スダレガヤ、ヒゲガヤなど日本沿岸からも多くの種類が知られている。

[山田真弓]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「かや」の意味・わかりやすい解説

カヤ(榧)
カヤ
Torreya nucifera; Japanese torreya

イチイ科の常緑高木。本州,四国,九州の山野に自生するが,庭木としても植える。高さ 15~20mになる。樹皮は灰色でなめらかであるが,老木では縦にはげる。葉は革質で披針状線形,長さ2~3cmで先端はとがり,触れると痛い。表面は濃緑色で光沢があり,裏面は淡緑色で2本の気孔線がある。枝の左右に羽状につく。雌雄異株で,4月頃開花し雄花は枝の下面に並び,雌花は胚珠だけで枝先に1~2cmの楕円体となってつく。翌年秋に紫褐色に熟する。胚乳はあぶって食用にするほか,てんぷら用の高級油をとる。特に中部地方に産するシブナシガヤ T. nucifera var. shibunashigayaは最も品質がよい。材は土台,橋,桶,碁・将棋盤,駒などに用いる。種子を乾燥した生薬の「榧実 (ひじつ) 」は十二指腸虫駆除の効があるという。

カヤ

「ススキ」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「かや」の意味・わかりやすい解説

カヤ

(1)榧と書く。本州〜九州,済州島の暖地の山地にはえるイチイ科の常緑高木。葉は披針状線形で2列に並び,かたくて先は鋭くとがる。表面は濃緑色で光沢があり,裏面は黄白色。雌雄異株。4〜5月に開花。雌花は前年枝の先に2〜3個つき,そのうちの1個が翌年秋熟す。種子ははじめ緑色のち紫褐色になる仮種皮に包まれる。内種皮は赤褐色でかたい。材は碁・将棋盤,建材とし,種子は食べられる。(2)茅と書く。イネ科のススキの別名。

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世界大百科事典(旧版)内のかやの言及

【ススキ(芒∥薄)】より

…ススキはこれらの変種,品種を含めて,日本,朝鮮,中国に分布する。 ススキは風情のある秋草として日本人に愛好されていて,月見には欠かせないものであるが,往時はカヤと呼んでかやぶき屋根をふいたり,炭俵を編んだりした。生態的には日本の乾いた草原の優占種で,森林を切るとまずススキが生え,ススキ原を焼くとススキが栄える。…

【新箸】より

…茅(カヤ)の箸で食物を食べる7月(旧暦では6月)下旬の行事。新箸の祝ともいう。…

※「かや」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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