けいせい色三味線(読み)けいせいいろじゃみせん

百科事典マイペディア 「けいせい色三味線」の意味・わかりやすい解説

けいせい色三味線【けいせいいろじゃみせん】

江戸中期の浮世草子江島其磧作。1701年刊。5巻5冊。京の巻5話,大坂の巻6話,江戸の巻5話,鄙(ひな)の巻4話,湊(みなと)の巻4話の各巻よりなる。各巻初めに遊女名寄せがある。役者評判記役者口三味線》の趣向をとるが,話は西鶴物の焼直しが多い。八文字屋本浮世草子の嚆矢(こうし)。

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世界大百科事典 第2版 「けいせい色三味線」の意味・わかりやすい解説

けいせいいろじゃみせん【けいせい色三味線】

浮世草子。江島其磧きせき)作。1701年(元禄14)刊。5巻。舞台を遊里に設定した短編集。5巻を京,江戸,大坂,鄙(ひな),湊(みなと)に分け,各巻頭に遊女名寄(なよせ)を付け,整然とした構成をとり,本文24章の虚構に現実感を付与する。本文は井原西鶴模倣剽窃(ひようせつ)が多いが,複雑な筋を理詰めに,しかも平明な文章で展開し,西鶴と異なった効果を出し,西鶴以後の浮世草子界を新方向に導く端緒を作った。

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