改訂新版 世界大百科事典 「ダイセン」の意味・わかりやすい解説
ダイセン
Dithane
ジチオカーバメート系殺菌剤で,ジネブzineb(エチレンビス(ジチオカーバメート)亜鉛)の商品名。黄色の吸湿性結晶で,ウリ類の炭疽(たんそ)病,疫病,アブラナ科の黒斑病,白斑病,べと病,ネギ類のべと病,黒斑病,銹(さび)病,イチゴの灰色かび病など野菜類の病害の防除に用いられる。類似の構造ならびに殺菌活性を有するマンネブ(商品名マンネブダイセン),マンゼブ(商品名ジマンダイセン),アンバム(商品名ダイセンステンレス),ポリカーバメート(商品名ビスダイセン)などの殺菌剤も広く使用されている。これらは細胞のエネルギー代謝をはじめ,生体における生化学反応において重要な役割を果たしているSH酵素の活性を阻害することによって殺菌力を示す。ダイセンの哺乳類に対する急性毒性は,50%致死量LD50=5000mg/kg(ラット,経口)である。
執筆者:高橋 信孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報