はね

精選版 日本国語大辞典 「はね」の意味・読み・例文・類語

はね

  1. 〘 名詞 〙(すずき)幼魚うち二尺(約六〇センチメートル)ほどのものの異称
    1. [初出の実例]「せいごははねになり劫経て鈴木(すすき)とよばるる」(出典評判記難波の㒵は伊勢白粉(1683頃)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「はね」の意味・わかりやすい解説

はね

生物が空中飛翔(ひしょう)あるいは浮遊することを可能にする器官、組織の総称。鳥の羽毛や翼、昆虫のはね(翅)、カエデの果実の翼などを含む。羽毛は特別な形をした表皮細胞の角質化によりつくられ、ほぼ鳥の全身を覆う羽衣(うい)となる。形状により正羽(せいう)、綿羽(めんう)、毛状羽の3種に分類される。いずれも中空の軸をもち軽く保温力がよい。そのうえ正羽はとくに、空気を打つのに優れた性質をもっていて、鳥の飛翔を助けている。

 鳥の翼は、ほかの脊椎(せきつい)動物の前肢と相同の器官である。これに対しコウモリの翼は前肢の指間に膜状に広がっている皮膚である。

 昆虫は胸部に二対のはねをもつ。中胸部の一対が前翅(ぜんし)、後胸部の一対が後翅である。これらは、いずれも胸部の背側の皮膚が伸び出し、関節でつながれたものと考えられている。成虫原基として発達を続け、ごく狭いすきまに折り畳まれていた袋状のはねは、成虫への脱皮とともに血リンパ液の圧力により外部へ伸び出し、硬化することではねとして働くようになる。昆虫のはねの形はさまざまで、薄い膜状で翅脈が細かく入り組んでいるもの(トンボ、セミなど)、厚いクチクラをもち体の保護をするもの(カブトムシコガネムシなど)、一部が音を発するようになっているもの(スズムシ、コオロギなど)、後翅が飛翔の際の平衡を保つ平衡桿(かん)に変化したもの(カ、ハエなど)、さらにすっかり退化してしまったもの(ノミなど)などがあり、昆虫の分類の目安にもなっている。また、はねの表面に独特の紋様を呈する鱗粉(りんぷん)(鱗片)をもつものがある(チョウやガなど鱗翅類)。この鱗粉は昆虫の体内で生ずる老廃物を原料としていて、モンシロチョウは紫外線によってリン光を発し、配偶行動に役だてることが知られている。

[竹内重夫]


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