精選版 日本国語大辞典 「ひし」の意味・読み・例文・類語
ひし【菱・
】
〘名〙
① ヒシ科の水生一年草。各地の池沼に生える。前年泥中に落ちた果実から芽を出して長い茎を水面にのばし、先端に菱状三角形の葉を多数放射状につける。葉柄は中空でふくれ、浮袋の役割をする。夏、葉腋から出た柄の先に小さな白い四弁花が咲く。果実は扁平で横長のほぼ菱形で両側に鋭いとげがあり、中に一個の種子が含まれる。種子は多肉質の子葉をもち食用になる。漢名、
。《季・夏》

※古事記(712)中・歌謡「歯並は 椎比斯(ヒシ)なす 櫟井(いちひゐ)の 丸邇坂(わにさ)の土(に)を」
③ 武器の一種。刺股(さすまた)状の刃に長い柄をつけたもの。
※大智度論平安初期点(850頃か)「若し橛、若し鏘(ヒシ)をもて人を傷けしむ」
⑤ (籗) 漁具の一つ。柄の先に二股の鉄の刃をつけたもので、魚を突き刺して捕える道具。〔十巻本和名抄(934頃)〕


⑦ 「ひしぬい(菱縫)」の略。
⑧ 「ひしがた(菱形)」の略。
⑨ とがった角をもつ崖。菱根(ひしね)。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報