びらんじ(読み)ビランジ

デジタル大辞泉 「びらんじ」の意味・読み・例文・類語

びらんじ

ナデシコ科多年草深山の岩上に生え、高さ20~30センチ。全体紫色を帯びる。葉は披針形で対生する。夏から秋、淡紅紫色の5弁花を開く。

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精選版 日本国語大辞典 「びらんじ」の意味・読み・例文・類語

びらんじ

  1. 〘 名詞 〙 ナデシコ科の多年草。本州関東および中部地方山地に生える。高さ一〇~三〇センチメートル。葉は対生し披針形で長さ二~五センチメートル。茎とともに軟毛がある。夏、梢頭に淡紅紫色の径二~三センチメートルの五弁花が咲く。萼は短い筒形。花弁の開出部は倒卵形で先が二裂している。〔物品識名(1809)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「びらんじ」の意味・わかりやすい解説

ビランジ
びらんじ
[学] Silene keiskei Miq. var. minor (Takeda) Ohwi et Ohashi

ナデシコ科(APG分類:ナデシコ科)の多年草。茎は株立ちとなり、高さ10~30センチメートル。葉は披針(ひしん)形。夏、茎頂に淡紅色花を数個開く。茎の上部萼筒(がくとう)に腺毛(せんもう)がある。山地から高山の岩礫(がんれき)地に生え、中部地方を中心に分布する。基本変種オオビランジは、より大形で毛が少ない。山地に生え、崖(がけ)から垂れ下がることが多く、中部地方に分布する。変種タカネビランジは高山型で、高さは低く、花が大きい。高山に生え、中部地方に分布する。

[三木栄二 2021年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「びらんじ」の意味・わかりやすい解説

ビランジ
Melandryum keiskei

ナデシコ科の多年草。本州中部地方の高山の岩礫地に生える高山植物一種で高さ 30cmぐらいになる。茎は細く,群がって生じ,葉は披針形で対生する。夏の終り頃,草丈に比して大型の美しい淡紅色の花をつける。5枚の花弁は軟らかく傷つきやすい。本種には多くの変種や品種があり,高山ごとの隔離による変異が目立つ。そのなかで学名上の基準となる形をオオビランジという。

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百科事典マイペディア 「びらんじ」の意味・わかりやすい解説

ビランジ

ナデシコ科の多年草。本州中部の深山の岩場にはえる。茎は分枝して,高さ10〜30cm,披針形の葉を対生。葉や花柄などには軟毛がある。7〜8月,茎頂に径約2.5〜3cmで淡紅色の5弁花を集散状に開く。花弁は先端が2裂。果実は長楕円形で,熟すと6裂する。葉や花柄に毛がほとんどないオオビランジ,花が大きく,ふつう単生するタカネビランジなどの変種が知られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「びらんじ」の意味・わかりやすい解説

ビランジ

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世界大百科事典(旧版)内のびらんじの言及

【マンテマ】より

… マンテマ属Silene(英名catchfly)はナデシコ科の中では大きな属で約400種が知られており,日本には,高山などに数種が生育している。このうちビランジS.keiskei Miq.var.minor Ohwi et Ohashiは中部地方の高山の岩場などに生える日本特産種で,7~9月にかけ,直径2.5cmほどの淡紅色の美しい花をつける。またムシトリナデシコ,サクラマンテマS.pendula L.などいくつかの種が,広く園芸種として栽植されている。…

※「びらんじ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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