ホワイ河(読み)ホワイが(その他表記)Huai he

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホワイ河」の意味・わかりやすい解説

ホワイ(淮)河
ホワイが
Huai he

中国東部を流れる川。淮水とも呼ばれる。ホーナン(河南)省南部のトンパイ(桐柏)山(→トンパイシャン〈桐柏山〉山脈)から流出して東流し,イン(潁)河クオ(渦)河ピー河などを合わせてチヤンスー(江蘇)省に入り,ホンツォー(洪沢)湖カオユー(高郵)湖を経て南流し,チヤントー(江都)県のサンチヤンイン(三江営)でチャン(長)江に合流する。全長約 1100km。華北の乾燥した畑作地域と,華中の湿潤な水田地域を分ける境界とされている。かつてはチヤンスー省北部で黄海に注いでいたが,1194~1855年の大部分の期間はホワン(黄)河が流入しており,その土砂によって天井川となった。1855年ホワン河は北へ流路を変えたが,ホワイ河は下流の河道がふさがれたために,南流してチャン江に合流するようになった。たびたび洪水を起こし,さらに 1938年には日本軍に追われた国民党軍(→中国国民党)がホワン河の堤防を決壊させたために,1947年までホワン河の水が流入していた。1950年根本的な治水計画が立てられ,上流にはフォーツーリン(仏子嶺)ダム,メイシャン(梅山)ダムなどの多目的ダムがつくられ,中流湖沼には堤防と水門が建設された。下流には多数の運河が引かれ,河道が浚渫された。またスーペイ(蘇北)灌漑水路など,河水を直接黄海へ導く水路が開かれた。この結果,水害が防止されただけでなく,灌漑用水の確保,下流のアルカリ土の脱塩が進み,全水系をたどる小型汽船航路が完成した。

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