日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボイスト」の意味・わかりやすい解説
ボイスト
ぼいすと
Friedrich Ferdinand von Beust
(1809―1886)
ザクセンおよびオーストリアの政治家。最初出身地ザクセンで活動し、1853年首相となった。反プロイセン・親オーストリアの立場にたちつつ、中小諸国を糾合して両大国と並ぶ「第三のドイツ」を建設しようとする思想を代表したが、1866年プロイセン・オーストリア戦争でオーストリア側につき、敗れて辞職した。同年オーストリア皇帝に招聘(しょうへい)されて外相となり、1867年には首相となってハンガリーとの「和協」(アウスグライヒ)を実現し、また憲法制定を促進して内政安定を図った。他方プロイセンに対する復讐(ふくしゅう)のためフランス、イタリアに接近を図ったが、プロイセン・フランス戦争の結果この企図も水泡に帰し、1871年辞任した。のち、1882年まで駐英大使、駐仏大使を歴任した。
[岡崎勝世]