日本大百科全書(ニッポニカ) 「めのう」の意味・わかりやすい解説
めのう
めのう / 瑪瑙
agate
色や透明度の違いで縞(しま)模様が明瞭(めいりょう)になっている玉髄の一種で、鉱物学的には非常に細かい石英の集まり。火山岩の空隙(くうげき)を満たして玉のような塊となり産することが多い。大きさは豆粒ぐらいから直径数十センチメートルに達するものまである。断面は同心円状あるいは水平な層状の縞になっており、しばしば中心部あるいは最上部にすきまがあって、水晶がみられることがある。天然のめのうの色は、白、乳白、灰、黄褐、赤、まれに緑、青、紫色などさまざまであるが、鮮やかなものは少ない。装飾用に出回っている美しいめのうは人工的に着色したものが多い。一般に、熱すると褐色から赤褐色になる。鉄イオンを含む薬品を使うと青色に、クロムを含む薬品では緑ないし青緑色に、ニッケルを含む薬品では鮮やかな緑色になる。また砂糖と硫酸を使って焼くと黒色になる。塩基性火山岩、流紋岩、溶結凝灰(ぎょうかい)岩などの空隙に産するほか、これらの岩石が風化崩壊した場合、めのうの塊が川や海の礫(れき)として集まる。ブラジル、ウルグアイ、インド、ドイツなどが主産地であるが、世界中に普通にみられる。日本では、北海道枝幸(えさし)郡、瀬棚(せたな)郡、二海(ふたみ)郡、石川県小松市などで産し、かつて装飾用に加工されていた。めのう細工は、福井県若狭(わかさ)地方で盛んであるが、原石は現在ではほとんどが輸入品である。オニクス(オニキスとも)onyxとよばれるものは、白と黒の縞模様が鮮やかなものをいい、苔めのう(こけめのう)moss agateとよばれるものは、乳白色の地に黒、赤、緑、黄色などの樹枝状あるいは苔状の模様をもっているものをいう。
[松原 聰]