アイヌ文化振興法(読み)アイヌブンカシンコウホウ

デジタル大辞泉 「アイヌ文化振興法」の意味・読み・例文・類語

アイヌぶんか‐しんこうほう〔‐ブンクワシンコウハフ〕【アイヌ文化振興法】

《「アイヌ文化振興並びにアイヌ伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」の略称アイヌ民族としての誇りを尊重し、アイヌ語、その音楽舞踊文学工芸などの振興を図り、かつそれらについての調査研究、知識の普及を目的とする法律。平成9年(1997)、明治32年(1899)制定の北海道旧土人保護法を廃止して成立施行。令和元年(2019)、新法の制定により廃止。→アイヌ新法

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百科事典マイペディア 「アイヌ文化振興法」の意味・わかりやすい解説

アイヌ文化振興法【アイヌぶんかしんこうほう】

正式名称〈アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律〉。1997年5月成立。1899年の〈北海道旧土人保護法〉を廃止し,アイヌ民族に関するすべての差別をなくすことを目的として,北海道ウタリ協会が中心となって1984年に原案を作成。アイヌ文化研究施設の設置,自立活動支援基金創設なども含む。北海道は原案に若干の修正を加えたうえ,1988年国に対して新法制定を要請した。成立に伴い,北海道旧土人保護法は廃止。1997年に財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構が設立され,札幌市に事務所を置き,東京都内にアイヌ文化交流センターを開設した。
→関連項目アイヌ萱野茂先住民族

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイヌ文化振興法」の意味・わかりやすい解説

アイヌ文化振興法
アイヌぶんかしんこうほう

正式名称は「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」。平成9年法律 52号。 1997年5月 14日公布。日本の少数民族,アイヌを固有の民族として初めて法的に位置づけた法律で,「アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現」を目的に,国と地方自治体の責任としてアイヌ語やアイヌ文化の継承者の育成,調査・研究,国民への啓発などの文化振興策を行うと定めている。しかし,アイヌの人々が求めていた先住権などの民族の権利は盛込まれず,「先住性は歴史的事実」とする付帯決議が衆参両院の内閣委員会で可決されたにとどまった。これに伴って,明治政府が同化を目的に制定して以来,アイヌ民族に適用されてきた北海道旧土人保護法が廃止された。

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世界大百科事典内のアイヌ文化振興法の言及

【アイヌ】より

… かくして政府は,これをうけて97年4月,〈アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する国民に対する知識の普及及び啓発を図るための施策を推進することにより,アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を図り,あわせて我が国の多様な文化の発展に寄与することを目的〉とした〈アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律〉を制定し(同年7月施行。〈アイヌ文化振興法〉と略称される),〈北海道旧土人保護法〉と〈旭川市旧土人保護地処分法〉を廃止した。しかし,この法律はその本質的な部分において,北海道ウタリ協会が求めてきた〈アイヌ新法〉の内容や〈懇談会〉の報告書の内容とは大きくかけ離れたもので,単に〈アイヌ文化〉の振興や普及策のみを規定したものに過ぎなかった。…

※「アイヌ文化振興法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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