精選版 日本国語大辞典 「アイリス」の意味・読み・例文・類語
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アヤメ科(APG分類:アヤメ科)イリス属の総称。単にアイリスとよぶ場合、園芸的に栽培する種の総称をさすことが多い。イリスはギリシア語で虹(にじ)を意味し、虹のように美しい花からつけられた。本属は北半球の温帯、北緯20~60度に分布し、アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカに広く生育し、230種から300種余が知られている。日本にはノハナショウブ、アヤメ、カキツバタ、シャガ、ヒメシャガ、エヒメアヤメ、ヒオウギアヤメ、ヒオウギの8種が自生する。形態は変化に富むが、花形はアヤメ形といわれ、3枚の外側の花弁(外花被(かひ))およびそれより小さい内側の3枚の花弁(内花被)と、3裂した花柱(雌しべ)および下部に各1個ずつの葯(やく)(雄しべ)からなる。花色は紫青色系が多いが、白、黄、赤褐色、茶褐色、黒紫色などもある。純粋の緋紅(ひこう)色系はアメリカ中部に自生するフルバ(チャショウブ)I. fulvaがやや近いが、原種にはこの色系統のものはないとされる。
宿根多年生のものが多いが、秋植え球根性のものもある。一般に耐寒性が強く、湿地を好むもの、乾燥地を好むものなど性質に変化がある。湿地好みのものは高性型が多く、茎葉が雄大である。乾燥地好みのものは矮性(わいせい)で茎葉も短いものが多い。大別して鱗茎(りんけい)種と根茎種に分ける。鱗茎種は球根アイリスともいい、休眠中は根がないのが特徴で、ダッチ・アイリス、イングリッシュ・アイリス、スパニッシュ・アイリス、レティキュラータ・アイリスなどの品種がある。根茎種は代表的なものにジャーマン・アイリス、ハナショウブ、アヤメ、カキツバタ、キショウブ、シャガ、イチハツ、ルイジアナなど多くの種類があり、さらに下弁の基部近くにひげのあるものを別系統に細分する説もある。これらのほかに、球根性を呈しながら根茎のもの、多肉質の根茎をもつものなど、2~3種が知られる。
[川畑寅三郎 2019年5月21日]
鱗茎種の代表種であるダッチ・アイリスDutch iris/I. × hollandica Hort. ex Todd.はオランダアヤメともいう。地中海沿岸地方原産の数種をオランダで交雑育種したもの。普通秋から出葉する耐寒種であるが、零下10℃以下では枯死する。代表的品種にホワイト・ウェッジウッド、イエロー・クイン、アイデアル、ブルー・リボン、ナショナル・ベルベットなどがある。球根は、6月中・下旬に葉が半枯れになったときに掘り上げ、風通しのよい日陰に乾かして貯蔵し、10月に植える。繁殖は分球による。球根の大きさにもよるが7~8センチメートル球では5センチメートル平方に1球ずつ植え、覆土は球根が隠れる程度にする。肥料は多めに基肥として施す。
根茎種の代表種であるジャーマン・アイリスGerman iris/I. germanica L.はドイツアヤメともいう。ヨーロッパ原産の数種が交雑育種され、多くの品種がつくられ、さらにアメリカで改良された優れた品種が多い。レインボー・フラワーといわれるほどで、花色の変化に富む。また、花弁が横に張る品種や芳香も放つ品種など、育種技術の粋を凝らしたものが多い。栽培はダッチ・アイリス同様であるが、日当り、排水ともよい乾燥地に適し、生育がよければ2~3年は植えかえをしなくても優れた花をつける。ともに切り花、鉢植え、花壇、庭園、ロック・ガーデンなどに広く用いられ、端午(たんご)の節供の季節花としても愛用される。白絹(しらきぬ)病や軟腐(なんぷ)病に弱いのが難点で、これを防ぐことが、優秀な花を咲かせるポイント。
[川畑寅三郎 2019年5月21日]
エジプト王トゥトメス3世が紀元前15世紀にシリアから持ち帰ったといわれるアイリスは、栽培の歴史が古く、古代ギリシアやローマでは香水に使われた。中世のヨーロッパではフロレンティーナ(和名ニオイイリス)I. florentina L.の乾燥した根(オリス根)が、病気除(よ)けの首飾りにされて大流行した。またアイリスを紋章化したフルール・ド・リスは、5世紀にクロービス王が使って以来、19世紀までフランス王家の紋章であった。なお、これを字義通りユリとする説もある。
[湯浅浩史 2019年5月21日]
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…シベリア,中国東北部,朝鮮,日本に産し,日本では各地の山間の草地に生えるアヤメ科の多年草(イラスト)。紫色の風情のある花のため,庭植えもされる。茎は高さ30~60cm。葉は先が垂れるために短く見えるが,茎とほぼ同長であり,また二つにおりたたまれて表面がくっつきあったため,両面とももともとは裏だった面からなる単面葉で,幅約1cmの線形剣状である。和名は葉が2列に並んだ様子の文目(あやめ)の意味から,あるいは花の外花被の基部に綾になった目をもつことから名付けられたという。…
…シベリア,中国東北部,朝鮮,日本に産し,日本では各地の山間の草地に生えるアヤメ科の多年草(イラスト)。紫色の風情のある花のため,庭植えもされる。茎は高さ30~60cm。葉は先が垂れるために短く見えるが,茎とほぼ同長であり,また二つにおりたたまれて表面がくっつきあったため,両面とももともとは裏だった面からなる単面葉で,幅約1cmの線形剣状である。和名は葉が2列に並んだ様子の文目(あやめ)の意味から,あるいは花の外花被の基部に綾になった目をもつことから名付けられたという。…
…【矢原 徹一】。。…
※「アイリス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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