海溝の外側(アウターライズ)付近でおきる地震。陸から見たとき、海溝の反対側に見える海溝軸に沿った海底地形の高まりをアウターライズという。これは、海洋性プレートが海溝で沈み込む際に下向きに折れ曲がりをおこすために生じると考えられている。海溝沿いのプレート境界で逆断層型の大地震が発生すると、しばらくしてアウターライズの浅い部分で正断層型の地震がおきることがある。これは、プレート境界で逆断層型の地震が発生することにより海洋性プレートの沈み込みに対する留め金が急に外されたようになり、プレートの折れ曲がり部分であるアウターライズの浅い部分に引っ張りの力が働くためだと考えられている。その一例として、2006年(平成18)11月15日に千島列島沖のプレート境界でおきた逆断層型地震(モーメントマグニチュード(MW)8.3)に引き続いて、2007年1月13日にその沖合いのアウターライズで発生した正断層型地震(MW8.1)をあげることができる。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により誘発されたとみられる地震のなかにも、アウターライズで発生した正断層型の地震がいくつかある。アウターライズの正断層型地震は、震源が陸地から比較的遠いため陸地で感じる揺れは小さいが、地震の規模に比して大きな津波を発生させることがある。これは、引っ張りの力に起因して地震が起きるため断層面の傾きが鉛直に近くなり、海底の上下変動が大きくなることによる。なお、アウターライズの深い部分には、浅い部分とは逆に、圧縮の力が働くため、そこでは逆断層型地震がおこることがある。
[山下輝夫]
(2013-10-30)
東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...
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