南カフカスのアゼルバイジャン共和国とイラン北西部で話されている。1989年現在,旧ソ連内に677万人のアゼルバイジャン人がおり,うち9割以上がアゼルバイジャン語を母語とする。アゼルバイジャン共和国では,アゼルバイジャン人が総人口の82.7%の絶対多数を占める。同共和国に住むほとんどすべてのクルド族の母語でもある。後者には300万以上の話し手がいるだけでなく,ペルシア語以外のイラン諸語相互間の共通語としても広く通ずる。言語の系統としてはチュルク諸語に属し,トルコ(共和国)語やトルクメン語に近い。母音は九つ。ы,и,y,,o,θ,a,eにə(発音は[ɛ]~[æ])が加わる。例えば,el(手),əl(国)。əは母音調和上は中性母音。男性語の語頭以外の位置に,トルコ語のkに当たるx([])が現れる。例えば,ox(矢,トルコ語のok)。正書法は,1922年にアラビア文字からローマ字に変わり,さらに39年にロシア文字に改められた。
執筆者:柴田 武
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トルコ系諸言語の一つ。アゼルバイジャン共和国(カスピ海西岸)で約677万人(1989)、イラン北西部で約800万人以上が使用している。トルコ共和国のトルコ語とごく近い関係にあり、かなりの程度に会話ができる。アゼルバイジャンでは四つの方言があるが、首都バクーを中心とした東部方言を基礎とした正書法が行われている。11世紀以来1929年まではアラビア・ペルシア文字によって表記されていたが、その後ラテン文字化が進み、1939年まで続いた。その後はロシア文字(キリル文字)を経てラテン文字の正書法が採用されている。文法構造や語順は日本語とよく似ている。
[竹内和夫]
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…他方,ガズナ朝,セルジューク朝においては,ペルシア文学の影響が強く,トルコ文学伝統はただ口承文学のなかにのみ継承された。13世紀初頭に始まるモンゴル族の西進は,トルコ文学伝統の復活をもたらし,新たなトルコ文語としてチャガタイ語,アゼルバイジャン語(アゼリー),オスマン語が発生して,近代にいたるまで併存していく。
[チャガタイ語文学]
ティムール朝(1370‐1506)で用いられたチャガタイ語は,中央アジアからムガル帝国のインドまで広く普及し,詩人アリー・シール・ナバーイーによって完成された。…
※「アゼルバイジャン語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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