アナルコ・サンディカリスム(読み)アナルコサンディカリスム

百科事典マイペディア の解説

アナルコ・サンディカリスム

19世紀末葉フランス中心アナーキズム労働組合運動との結合によって生まれた運動およびその思想潮流。革命的サンディカリズム国家政治権力否定し,サンディカ組合)を基礎として資本家に対する直接行動をとり,最終的にはゼネストによって資本―賃労働関係の廃絶に向かおうとしたもので,議会制度には強く反対した。イタリアスペインなどに広がり,英国ギルド社会主義米国世界産業労働者組合,1920年前後の日本の労働運動などにも影響を与えている。
→関連項目アナ・ボル論争幸徳秋水サンディカリスム普選運動

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山川 世界史小辞典 改訂新版 の解説

アナルコ・サンディカリスム
anarchosyndicalisme

サンディカリスムなかでも19世紀末から1910年頃までフランスの労働運動において,支配的になった運動の形態理論を革命的サンディカリスムという。これは労働者の議会につながる政治活動を否定し,ゼネストなど労働者の直接行動により資本主義を打倒し,労働組合の地域的連合による産業の管理をめざす。しかししだいに,国家の否定,個人の自由な結合を主張する無政府主義の影響が大きくなっていったので,アナルコ・サンディカリスムと呼ばれるようになった。ヨーロッパ,南アメリカのラテン系諸国に影響力を持ったが,1920年頃より衰退する。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 の解説

アナルコ・サンディカリスム

無政府主義的労働組合主義。労働組合運動と結合したアナーキズム運動。政治活動を否定したクロポトキンらは労働組合の直接行動=ゼネラル・ストライキによって,一挙に一切の権力のない自由平等の理想社会の実現を志向,理論化に努めた。日本では幸徳秋水・大杉栄らが紹介,明治期末から関東大震災の時期にかけて影響力をもった。

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旺文社日本史事典 三訂版 の解説

アナルコ‐サンディカリスム
anarcho syndicalisme

革命的サンディカリスム(労働組合主義)
アナーキズムと結び,労働組合の直接行動によって労働組合が生産と分配の中心となる社会の建設をめざす考え方。わが国では幸徳秋水が主張し,大杉栄が推進したが,彼の暗殺後は衰えた。

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世界大百科事典(旧版)内のアナルコ・サンディカリスムの言及

【アナ・ボル論争】より

…第1次世界大戦後,日本の社会運動内部に生まれたアナルコ・サンディカリスムとボリシェビズムの2潮流による思想上,運動上の対立。大戦後労働運動が高揚し,そのなかに1920年ころから大杉栄らのアナルコ・サンディカリスムの思想が強い影響力をもつようになった。…

【サンディカリスム】より

…サンディカsyndicat(組合)を語源とするフランス語で組合の形態をとる社会的運動を指す。英語ではシンディカリズムsyndicalism。しばしば運動主体の職業的性格(労働者,農民,経営者など),または思想的傾向(革命的,改良主義的,キリスト教系など)を示す形容詞を付して用いられ,単独に使用される場合は多く労働組合運動を意味する。だが,この語が定着した当時,フランス労働組合運動では組合運動を通じて革命を達成しようとする,いわゆる革命的サンディカリスムsyndicalisme révolutionnaireが主流を占めていたため,国際的にはサンディカリスムの語はこの運動,もしくは類似の傾向を意味する固有名詞として使用されることになった。…

※「アナルコ・サンディカリスム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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