アファナシェボ文化(読み)あふぁなしぇぼぶんか(英語表記)Афанасьево/Afanas'evo

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アファナシェボ文化」の意味・わかりやすい解説

アファナシェボ文化
あふぁなしぇぼぶんか
Афанасьево/Afanas'evo

シベリアにおける最古の金属器文化。紀元前三千年紀に成立し、前二千年紀に衰退した。この文化の特徴は、石製労働用具を多用するなど、新石器的生産技術の伝統を強く残しながらも、少量の銅製品を初めて用いていることである。銅はすべて鍛造で、刀子(とうす)、短剣、斧(おの)、鈴、管状針入れなどがある。生業は、ヒツジウシ、ウマなどの家畜飼養に主体を置いていたが、旧来の野生動物の狩猟も少なからぬ役割を果たしていた。また、漁網用の錘(おもり)が多く出土しており、漁労も頻繁に行われていたとみられる。エニセイ川やアルタイ山麓(さんろく)ではこの文化期の墓が多数発見されている。一般に、墓の上部が石組で覆われた土壙墓(どこうぼ)で、遺骸(いがい)は屈葬位である。遺骸の傍らには土器や各種の労働用具、それに家畜や野生動物の骨付き肉などが置かれていた。

[大塚和義]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アファナシェボ文化」の意味・わかりやすい解説

アファナシェボ文化
アファナシェボぶんか
Afanashevo culture

シベリアのエニセイ川上流地域からアルタイ山地にかけて分布する新石器時代末期から初期青銅器時代にかけての文化。シベリアの広大な地域に類似した内容をもつ文化がみられる。草原地帯という同一の環境に適応した文化が拡散したのであろう。生業の主体は牧畜にあったとされているが,一部では農耕も行われていたようである。金属製品はナイフ,針など小型のものが多く,墳墓からの出土が主体である。東アジア的な要素と西アジア的な要素をあわせもつ文化と考えられている。

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