アポロニオス(詩人)(読み)あぽろにおす(英語表記)Apollōnios

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アポロニオス(詩人)」の意味・わかりやすい解説

アポロニオス(詩人)
あぽろにおす
Apollōnios
(前295ころ―?)

古代ギリシア詩人アレクサンドリアに生まれたが、ロドス島(ロードス島)に長く滞在したので「ロドスアポロニオス」とよばれる。カリマコスに師事し、アレクサンドリアの大図書館の司書を務めた。ギリシア詩人の注釈や諸都市の歴史などのほか、現存の長編叙事詩『アルゴナウティカ』(アルゴ号の航海)4巻を著した。これは、イオルコス王ペリアスの命に従い、黄金の羊皮を求めたイアソンを主人公とする。イアソンはギリシアのおもな英雄たちとともに、アルゴ号に乗って黒海東岸のコルキスへ航海し、王女メディアに助けられて黄金の羊皮を手に入れた。帰途ダニューブ、ポーローヌ川を通り、イタリア、アフリカを経て、故郷へ戻った。第3巻は恋するメディアの心理を生き生き描き出す。航海の物語は神話や歴史への言及に満ちているが、これは単なる考証ではなく、英雄時代のできごとを現実の世界に結び付ける役割を果たしている。ローマの詩人にも影響を与えた。

[岡 道男]

『岡道男訳『世界文学全集 1 アルゴナウティカ』(1979・講談社)』

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