精選版 日本国語大辞典 「アマ」の意味・読み・例文・類語
アマ
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アマ科(APG分類:アマ科)の一年草。別名ヌメゴマ、アカゴマなど。原産地はコーカサスから中近東にかけての地域といわれる。茎は細く高さ0.6~1.2メートルで、葉が互生する。葉は葉柄がなく披針(ひしん)形で長さ2~3センチメートル。夏に、青紫色または白色で、直径1.5センチメートルほどの5弁花をつける。果実は球形で数個の種子が入る。種子は長さ5ミリメートルほどの楕円(だえん)形で扁平(へんぺい)、黄褐色でつやがある。
茎からは繊維を、種子からは油をとるために栽培される。古代に中近東で栽培化され、アーリア人によって東西に広められたらしい。その繊維はインドやエジプトでは5000年以上昔から衣服として利用されていた。また、新石器時代のスイス湖上生活人の遺跡からアマが出土しており、ヨーロッパでは木綿が普及するまでは、主要な衣料作物であった。日本には17世紀末期に中国から渡来したが、当時は薬用のあまに油をとるために栽培された。繊維用作物としては、1886年(明治19)にアメリカやヨーロッパから北海道に品種を導入したのが最初である。枝分れせずまっすぐに伸びる繊維用と、油をとるための種子用とがあり、繊維兼種子用の品種もある。種子用品種は枝が多数出て、種子は大形。種子用栽培は温暖な地でもよいが、繊維用栽培は冷涼多湿の地がよく、日本では北海道が適地である。
[星川清親 2020年7月21日]
茎の表皮に近い部分に存在する靭皮(じんぴ)繊維がとくに長いのでこれを利用する。果実が未熟なときに刈り取り、乾燥させ、果実を除いてから水に漬けて一部分を腐らせて繊維だけを機械にかけて取り出す。この繊維は強さと美しさと耐久性で綿(めん)よりも優れているので、これで織ったリンネル(リネン)は高級品とされる。
種子(亜麻仁)を冷圧して得た澄明黄色の脂肪油をあまに油と称する。リノール酸、リノレン酸、油酸を主とする不飽和脂肪酸のグリセリンエステルを多く含有していて、空気中の酸素を吸収して皮膜をつくりやすいので、乾性油(ヨウ素価160~200)として油絵の具、ペイント、リノリウム、油布、印刷用インク、ワニス、パテなどの工業用油として多く使用される。食用にも利用される。
薬用としては、種皮に含まれる粘液(3~9%)が作用物質なので、種子の煎液(せんえき)を緩下(かんげ)、緩和、鎮咳(ちんがい)、鎮痛、利尿剤として使用する。油をとったかすはタンパク質に富む飼料となるが、リナマンという青酸配糖体を含有するために、加熱したり完熟種子だけを使用するなど、中毒を避けるくふうを必要とする。
[長沢元夫 2020年7月21日]
その青い花はゲルマン民族の雷神ドナールの青い稲妻と結び付き(春山行夫説)、不思議な魔力があると信じられた。その一つに、カーニバルの夜、乙女がアマの種子を詰めた枕(まくら)で眠ると、夢で未来の夫が姿をみせるという中世ドイツの結婚占いがある。なお、結婚後12年目の記念式を亜麻婚式というが、これはアマが身近で重要な植物であったことの現れである。
[湯浅浩史 2020年7月21日]
常に身に迫る一触即発の危険な状態をいう。シラクサの僭主ディオニュシオス1世の廷臣ダモクレスが王者の幸福をたたえたので,王がある宴席でダモクレスを王座につかせ,その頭上に毛髪1本で抜き身の剣をつるし,王...
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