改訂新版 世界大百科事典 の解説
アミノアシルtRNA合成酵素 (アミノアシルティーアールエヌエーごうせいこうそ)
aminoacyl-tRNA synthetase
アミノ酸+tRNA+ATP─→アミノアシルtRNA+AMP+ピロリン酸
この反応は,遺伝暗号の翻訳,すなわちタンパク質の生合成においてきわめて重要な役割をもつ。タンパク質の構造,すなわち,アミノ酸の配列順序は核酸の塩基配列によって決められるが,塩基配列と個々のアミノ酸の1対1の対応が具体的に成立するのはtRNAとアミノ酸の結合においてであり,アミノアシルtRNA合成酵素はこの過程を担当している。20種のアミノ酸に対してそれぞれ特異的な酵素が存在し,特定のtRNA分子にアミノ酸を結合させる。しかしこの酵素が具体的にどのようにして特定のアミノ酸とそれに対応するtRNAを認識しているかについてはよくわかっていない。アミノアシルtRNAの生成は実際には二つの素反応から成っている。まず,アミノ酸がATPにより活性化され,アミノアシルAMP-酵素複合体となり,つぎにこの複合体がtRNAのCCA(シトシン・シトシン・アデニン)末端と結合してアミノアシルtRNAが生成する。
→RNA
執筆者:柳田 充弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報