アメリカムシクイ(英語表記)Parulidae; new world warblers

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アメリカムシクイ」の意味・わかりやすい解説

アメリカムシクイ
Parulidae; new world warblers

スズメ目アメリカムシクイ科の鳥の総称。ムシクイと名がついているが,ユーラシア大陸やアフリカなどに分布するムシクイ類やオーストラリアムシクイ類と類縁関係が近いわけではない。約 120種からなり,北アメリカ,中央アメリカ南アメリカ西インド諸島に分布する代表的な小鳥全長 10~15cm。羽色は黄色みを帯びたものが多く,赤,黒,白色など派手な色分けのものもある。北アメリカで繁殖するものの多くは,雌は全体に黄色みを帯びた地味な羽色で,雄は,夏羽(→羽衣)は黄色い羽毛に黒色羽が加わった鮮やかな羽色になり,冬羽は雌に似るものもある。大部分は中央・南アメリカに渡って越冬する。南アメリカに分布する留鳥性の種には,雌雄とも一年中鮮やかな羽色の鳥がある。疎林からかなり茂った森林まで,さまざまな林に生息し,ほとんどの種は昆虫食だが,種子果実,花蜜を好んで食べる種もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメリカムシクイ」の意味・わかりやすい解説

アメリカムシクイ
あめりかむしくい
American warblers
wood warblers

鳥綱スズメ目アメリカムシクイ科に属する鳥の総称。同科Parulidaeは113種が知られる大きなグループで、北アメリカから南アメリカにかけて新世界に分布する。旧世界のヒタキ科のムシクイ類に似ているが、系統的にはホオジロ科に近い。全長は11~18センチメートルのスズメ大程度で、じみな草色のものもあるが、大部分は黄、橙(だいだい)、黒、白の目だった色彩をしている。北アメリカの種は雌雄で色の異なることが多いが、南アメリカのものは逆に雌雄同色が多い。幅広くいろいろの環境にすみ、針葉樹林から降雨林までのすべての林、やぶ、草原砂漠の低木疎林地にもすんでいる。多くのものは昆虫を食べるが、果実や種子を食べるものもいる。冬には種類の混じった群れをつくっていることが多い。その生活域は旧世界のシジュウカラ科、ウグイス亜科に似ている。

[中村登流]

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世界大百科事典 第2版 「アメリカムシクイ」の意味・わかりやすい解説

アメリカムシクイ【wood warbler】

スズメ目アメリカムシクイ科Parulidaeに属する鳥の総称。約25属113種の優美で活発な小鳥を含み,南・北アメリカおよび西インド諸島の特産である。全長10.5~18cm。羽色はさまざまだが,黄色や橙色白黒などの際だった模様をもつものが多い。くちばしは一般に細く,その名のように主として昆虫食であるが,果実や花みつも食べる。とくに冬季には食物のかなりの部分が種子などの植物質である。亜寒帯から熱帯まで広く分布する。

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