翻訳|Amon
古代エジプトでもっとも一般的に崇拝された神で、しばしば太陽神であるラーと結合し、アモン=ラーと記されている。アメンあるいはアムンと同じ。アモンは早期には世界創造の原動力とみなされ、勃起(ぼっき)した男根をもつ男神として表現された。ヘルモポリス(古エジプト語ヘメヌー「八つ」から)の8神に属し、アマウネトを対偶神としていた。
アモンの名は、ときにリビア・ベルベル語で「水」を意味するアマンと結び付けて解釈され、またパノポリス(古エジプト語イプ、今日のアフミーム)の地方神ミン(別名イムス、ヘムなど)と関係があるとみなされる。ラー神の場合と同じく、ミン=アモンあるいはアモン=イムスというような結合形で記されていることがあるからで、ミン神もしばしば勃起した男根をもつ男神として表されている。
この神名は、第12王朝の王名(アメン・エム・ハト=アメネムハト)、第18王朝の王名(アメン・ヘテプ=アメンヘテプ、トゥト・アンク・アメン=ツタンカーメン)などに含まれている。とりわけ第18王朝の時期(ほぼ前1550~前1350)にはアモン神の崇拝が盛んであり、アモン神官の権力が強かった。アメンヘテプ4世(イク・ン・アトン=イクナートン)は、アモン崇拝を一時的にアトン(太陽円盤)に変えたが、その死後アモン神崇拝が再興した。
[矢島文夫]
オーストリアの経済学者。1907年ウィーン大学卒業。フライブルク、チェルノビッツ、グラーツ、プラハの諸大学で経済学を講じたのち、1926~1929年(大正15~昭和4)東京帝国大学経済学部で教壇に立ち、揺籃(ようらん)期における日本の近代経済学史上でも重要な役割を果たした。その後1953年までベルン大学教授。ウィーン学派から出発し、新カント派の認識論に立脚した理論経済学の方法論的研究面での功績が大きく、この面の著作に『Objekt und Grundbegriffe der theoretischen Nationalökonomie』(1 Aufl. 1911, 2 Aufl. 1927)〔山口忠夫訳『理論経済学の対象と基礎概念』(1937)は第2版の前半部を訳したもの〕がある。価格論では、ウィーン学派とカッセルとの接合を図り、やや通俗化された形にせよ一般均衡理論の普及に貢献した。学説史にも通じ、滞日中の作品に『正統学派経済学』(1929)、『限界効用学説史』(1932)などがある。第二次世界大戦後も『財政学原理』Grundsätze der Finanzwissenschaft2巻(1947、1953)をはじめ、多くの著作を発表した。
[早坂 忠]
スイスの経済学者。オーストリア生れ。1907年ウィーン大学卒業後フライブルク,プラハ大学その他,また東大(1926-29)でも経済学を講じ,のちスイスのベルン大学教授となった(1929-53)。彼の功績は,ウィーン学派とG.カッセルとを折衷した価格理論を提示し,カッセルに従って一般均衡理論を紹介し普及させたことにある。彼の主著《国民厚生経済学原理》第1巻(1926)は当時におけるすぐれた経済原論のテキストとして広く読まれた。方法論や学説史にも関心をもち,第2次大戦後は英米の新理論の入門書や,シスモンディ,財政学に関する大著,経済政策批判,経済学と哲学など,広範な著作活動を行った。主著にはほかに《理論経済学の対象と基礎概念》(1911)がある。
執筆者:大野 忠男
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(藤井隆至)
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出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…古代エジプトの神。アモンAmon,アムンAmunと表記されることもある。大気・豊饒の神。…
…生得的能力差と生存闘争が人間社会の基本だとするヘッケルの社会観には,ドイツの社会ダーウィニズムの虚無的な性格がよく表れている。そしてヘッケル以外にも,L.グンプロビチ,ラッツェンホーファーG.Ratzenhoferの闘争を重視する社会学派,シャルマイヤーW.SchallmayerやプレッツA.Ploetzの優生学的主張,A.アモンのような楽天的な競争社会観など,多くの生物学主義的社会理論が輩出した。なかでも1900年の〈国家の国内政策の発展およびその立法に関して,われわれは進化論の原理から何を学ぶか〉というA.クルップの懸賞問題は,この思想の広範な浸透を象徴する事件として有名である。…
※「アモン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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