アリアケヒメシラウオ(読み)ありあけひめしらうお(その他表記)Ariakehime icefish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリアケヒメシラウオ」の意味・わかりやすい解説

アリアケヒメシラウオ
ありあけひめしらうお / 有明姫白魚
Ariakehime icefish
[学] Neosalanx reganius

硬骨魚綱サケ目シラウオ科に属する魚。有明海に注ぐ、筑後(ちくご)川と緑川の感潮域にのみ生息する日本の固有種。体は透明で、ほとんど鱗(うろこ)がない。雄の臀(しり)びれ基底に沿ってならぶ鱗は16~17枚であること、成熟した雄の臀びれ基底に1個の黒色斑(はん)があること、胸びれが小さく、その鰭条(きじょう)は22~26本であること、口蓋(こうがい)骨に歯がないこと、体長は6センチメートルほどにしかならないことなどでほかのシラウオ類と区別できる。産卵は3~6月。寿命は1年。ダム、取水、砂利採取などで資源量が激減し、環境省のレッド・リスト(2013)では近い将来野生絶滅の危険性がきわめて高い、絶滅危惧ⅠA類に指定されている。

[尼岡邦夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アリアケヒメシラウオ」の意味・わかりやすい解説

アリアケヒメシラウオ
Neosalanx reganius

キュウリウオ目キュウリウオ科の魚。体長 13cmになる。体は透明で,細長く,側扁する。下顎上顎より長い。性的二形(雌雄二形)があって,雄は雌より胸鰭が大きく,尻鰭基底上方に 1縦列に並ぶ鱗をもつ。産卵期は 3~6月。有明海に注ぐ筑後川緑川に分布する。絶滅危惧種

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世界大百科事典(旧版)内のアリアケヒメシラウオの言及

【シラウオ(白魚)】より

…生食,すし種,てんぷら,吸物などにして高級魚として賞味される。 日本にはほかに数種のシラウオ類が生息し,太平洋産のイシカワシラウオ,有明海のアリアケシラウオ,有明海に流れ込む筑後川の淡水域にのみ生息するアリアケヒメシラウオがある。最近は,中国で産する大型の銀魚(インユー)が輸入され市場に出回っている。…

※「アリアケヒメシラウオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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