アルコールデヒドロゲナーゼ

デジタル大辞泉 の解説

アルコール‐デヒドロゲナーゼ(alcohol dehydrogenase)

アルコールを酸化させてアルデヒドにする反応触媒する酵素可逆反応であり、アルコール発酵においてはアルデヒドを還元してアルコールを生成する。人間体内では肝臓に含まれ、アルコールの分解に寄与する。アルコール脱水酵素。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 の解説

アルコールデヒドロゲナーゼ
アルコールデヒドロゲナーゼ
alcohol dehydrogenase

EC 1.1.1.1.アルコール脱水素酵素ともいう.次の反応を触媒する酵素.

 R-CH2OH+NAD R-CHO+還元型NAD

 R-CHOH-R′+NAD R-CO-R′+還元型NAD

アルコール発酵においては,アセトアルデヒドを還元してエタノールを生成する重要な酵素である.エタノールのほか,1-プロパノール,1-ブタノール,1-ペンタノールメタノールグリコールの順に基質に対する活性を示す.酵母,高等植物,肝臓に含まれる.酵母からの結晶標品は分子中にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD),ZnおよびSH基を含み,分子量は1.5×105,最適 pH 約8である.上記のほか,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)を補酵素とする別種のアルコールデヒドロゲナーゼの存在も細菌において知られている.[CAS 9031-72-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典 第2版 の解説

アルコールデヒドロゲナーゼ【alcohol dehydrogenase】

アルコール発酵の最終段階に関与する酵素で,次の可逆反応を触媒する。 CH3CHO+NADH+H⇄C2H5OH+NAD (NAD;ニコチン酸アミドアデニンジヌクレ  オチド)アルコール発酵を特に強力におこなうのは酵母であり,酵母からはこの酵素が結晶として得られている。分子量約15万で4個のサブユニットからなり,亜鉛を結合している。動物の肝臓にも多く存在し,人がアルコールを飲んだ時に肝臓でこの酵素の作用により(上の反応の逆反応で)アセトアルデヒドが生成し,この物質悪酔いの原因といわれる。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 の解説

アルコールデヒドロゲナーゼ

 アルコール脱水素酵素ともいう.[EC1.1.1.1](NAD),[EC1.1.1.2](NAD(P))がある.また,[EC1.1.1.71](NAD(P))(alcohol dehydrogenase (NAD(P)), retinal reductase) も知られている.亜鉛を含む酵素で,動物の肝臓に存在する.アルコールを酸化して,アルデヒドにする酵素.反応は可逆.[EC1.1.1.71]はレチナールを還元するレチナールレダクターゼで,これもアルコールデヒドロゲナーゼの一つ

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

少子化問題

少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...

少子化問題の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android