アルゴリズム(英語表記)algorithm
algrism

精選版 日本国語大辞典 「アルゴリズム」の意味・読み・例文・類語

アルゴリズム

〘名〙 (algorithm)
① 今日用いる筆算のこと。インドに始まり、アラビアを経て近世ヨーロッパに伝わった。アラビアの数学者アル=コワリズミの名にちなんでこのように呼ぶ。
② 計算の手順のこと。計算のいかなる段階においても、どうすればよいかが一義的に定まるような一連の規則をいう。

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デジタル大辞泉 「アルゴリズム」の意味・読み・例文・類語

アルゴリズム(algorithm)

ある特定の問題を解いたり、課題を解決したりするための計算手順や処理手順のこと。これを図式化したものがフローチャートであり、コンピューターで処理するための具体的な手順を記述したものがプログラムである。イランの数学者・天文学者、アル=フワーリズミーにちなむ。

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改訂新版 世界大百科事典 「アルゴリズム」の意味・わかりやすい解説

アルゴリズム
algorithm
algrism

算法ともいう。計算の方法,作図の手順,問題を解く手続きなど,一般に情報処理の具体的な方法,手順。例えば定規とコンパスで〈与えられた2点の中点を求める方法〉,計算の繰返しによって〈与えられた2数の最大公約数を求める方法〉(互除法)などがアルゴリズムの基本的な例である。

 アルゴリズムの語は,アラビアの数学者フワーリズミーに由来する。12世紀に彼の著作がラテン語に訳されたとき,その書名にアル・フワーリズミーから採ったアルゴアリスミalghoarismiなどの語が冠せられた。その後algorismとつづり,アラビア数字,アラビア式記数法,算術などを意味したが,数を意味するギリシア語arithmosと結びついてalgorithmともつづるようになった。現在〈算法〉という意味ではこの後者がおもに用いられる。

ギリシアの三大難問(たとえば〈与えられた任意の角を3等分する一般的な方法を示せ〉)や,代数方程式の解の公式を求める問題は,どれもアルゴリズムの問題と考えることができる。これらは(四次以下の方程式の解の公式を除き)否定的に解かれたが,数学の発展に大きな影響を及ぼした。1930年代に数学基礎論の一部で,論理の限界の研究に関連して,アルゴリズムの一般的な概念(計算可能性)とその限界が論じられた。40年代には,電子計算機登場によって,アルゴリズムは実用的かつ緊急の意味をもつようになった。どんな仕事でも,電子計算機に実行させるには,そのためのアルゴリズムが必要不可欠だからである。この重要性は電子計算機の普及とともにますます一般化しつつ,現在に至っている。

アルゴリズムは客観的に明確で,どのような場合に何をなすべきかがつねに具体的に指定されていなければならない。〈適当に〉とか〈主体的判断によって〉などということは許されないのである。そこでアルゴリズムを記述する際に,次の事がらをあらかじめはっきりさせておかなければならない。(1)どんな基本操作が許されるか。(2)適切な基本操作を選択するために,どんな条件の判定が可能か。(3)基本操作およびその実行順序を,どのように書き表すか。例えば作図アルゴリズムにおいては,2点を結ぶ直線をひくこと,ある点を中心にある半径の円を描くことなどが基本操作となる。また〈ある直線の上に,ある点Pが乗っているかどうか〉などはいつでも判定可能とみなされる。作図アルゴリズムはこれらの基本操作および条件判定の列という体裁をとる。複雑なアルゴリズムの記述のためには,実行順序にまぎれが生じないように,人工的な〈記述言語〉あるいは〈プログラミング言語〉を設定し,それに従ってアルゴリズムを記述する。その結果を〈プログラム〉という。

アルゴリズムに関連して,次のような研究が行われている。(1)可能性について-帰納的関数の理論。(2)正確さについて-論理的な正当性については〈数学的プログラム理論〉,数値的な正確さについては〈数値解析〉。(3)効率について-〈計算量の理論〉。ここで計算量とはあるアルゴリズムにおいて実行される基本操作の回数など,計算の複雑さを表す量のことである。例えば乗算の反復によってax100を計算する場合,axを100回掛ければ計算量は100となるが,巧妙なアルゴリズムを用いれば計算量は9となる(9回の乗算でax100が求められる)。大規模な問題が扱われる場合,アルゴリズムの巧拙は致命的な影響をもつ。そのため計算量の理論は70年代以降急速に発達した。現在では多数の計算装置による同時並行処理を前提とした〈並行処理アルゴリズム〉や,不確定な要素を含む〈非決定論的アルゴリズム〉〈確率論的アルゴリズム〉なども研究されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルゴリズム」の意味・わかりやすい解説

アルゴリズム
あるごりずむ
algorithm

計算や問題解決の手順のこと。定められた手続に従って計算していけばいつかは答えが得られ、それが正解であることが保証されている手続である。最大公約数を求めるユークリッドの互除法などがその例。ただし計算量や記憶容量の問題を考えたときに、それが現実的に実行可能であることは意味しない。よくいわれるNP完全問題は、要素の数nに対して指数関数的に資源(計算時間や記憶容量のこと)が増加するので、計算時間が宇宙の寿命より長かったり、メモリー容量が宇宙の分子の数より大きかったりして、現実的には解けないことが多い。

 したがってアルゴリズムは正解が求められるというだけでは不足で、その計算量が問題とされる。たとえば大量のデータを整列する(大きさの順とかアルファベット順とかで並べ替える)「ソート」のアルゴリズムは、要素数nに対しnlog(n)のオーダーで計算できるものが最善であり、場合によってはn2のものも多用されている。

 人工知能AI)などでは、ヒューリスティクスとよばれる擬似アルゴリズムが使われることが多い。これは、平均的には効率よく解を求められるが、場合によっては間違っていたり、最適の解ではなかったりすることがあるというものである。しかし、日常生活を送るうえではこれで十分なことが多い。たとえば、カーナビゲーションで経路探索を行った場合、最短経路より数%長い探索結果が出てしまうことなどは許容されるであろう(実際、交通状況に依存するので、カーナビの最短経路がもっとも早いとは限らない)。

 また、多くの都市をどの順で回れば最適かという「巡回セールスマン問題」の最適解を求めるにはn!に比例する時間がかかり、20都市程度でも現実的な計算はできない。

 一般的に計算量が膨大になる問題でも、最適解でなくてよければ、現実的に計算可能なヒューリスティクスはいくつかある。ニューラルネットワークを使って近似解を求める方法も知られている。

[中島秀之 2019年7月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルゴリズム」の意味・わかりやすい解説

アルゴリズム
algorithm

数学情報科学,あるいは関連する分野において,有限回の手続きによって,問題を解決するための一定の手順。語源は,アラビアの数学者ムハンマド・イブン=ムーサー・アル=フワーリズミーの著書名の一部に由来するといわれている。ユークリッドの互除法は,二つの整数に対して,その最大公約数(→約数)を求める手順を与える方法であり,アルゴリズムの例である。具体的には次のように記述される。整数 ab に対して,ab で割った余りを r とする。このとき ab の最大公約数は,br の最大公約数に等しくなるので,(ab)を(br)に置き換えて同じ操作を繰り返す。余りは必ず小さくなっていくので,有限回の操作で 0になり,最終的に(d,0)となったときの dab の最大公約数となる。アルゴリズムの概念を厳密に定式化する数学モデルとしてテューリング機械が知られている。アルゴリズムはコンピュータ情報処理を行なう場合の基盤となる。コンピュータにアルゴリズムを指示するための,操作の並びを記述したものがプログラムにほかならない。

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百科事典マイペディア 「アルゴリズム」の意味・わかりやすい解説

アルゴリズム

算法とも。アラビア数字を用いる筆算法を意味する英語で,アラビアの数学者フワーリズミーが語源。今日の数学では,問題を解くための演算の手順を表したものをいう。2数の大小の比較,位置の入替え,指示から指示への移行などの補助的操作も含む。→プログラミング

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「アルゴリズム」の解説

アルゴリズム

問題を解決するための方法や手順のこと。問題解決の手続きを一般化するもので、プログラミングを作成する基礎となる。アルゴリズムは1つの問題に対し、複数ある場合が多い。たとえば、文字をアルファベット順に並べ替えるには、複数のアルゴリズムが考えられる。アルゴリズム次第で、プログラムのサイズや汎用性などが変わってくるため、効率的と思われるものをプログラムに採用する。アルゴリズムは流れ図(フローチャート)を用いて図式化される。

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IT用語がわかる辞典 「アルゴリズム」の解説

アルゴリズム【algorithm】

コンピューターが効率的に問題を解いたり、課題を解決したりするための処理手順。◇アルゴリズムをプログラミング言語を用いて具体的に記述したものがプログラム

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カメラマン写真用語辞典 「アルゴリズム」の解説

アルゴリズム

 英語の Algorithm 。処理手順を指す。画像処理など、コンピューターが特定の作業を実行するためのステップを指示するなどがそれ。といってもカメラ内にアルゴリズムはなく、実際には、アルゴリズムはプログラムに書き換えられてコンピューターに実行させる。

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知恵蔵 「アルゴリズム」の解説

アルゴリズム

問題を解くための数学的計算手順。算法ともいう。具体的には、プログラミング言語を使って、問題の解決手順を記述したものを、コンピューターのプログラムと呼ぶ。それを実行すると、有限時間内に解が得られるものが正しいアルゴリズムである。

(星野力 筑波大学名誉教授 / 2007年)

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ホームページ制作用語集 「アルゴリズム」の解説

アルゴリズム

コンピュータが目的を達成するための処理手順、情報を処理する基盤である。アルゴリズムをプログラミング言語を用いてコンピュータに指示するための文書をプログラムという。

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世界大百科事典(旧版)内のアルゴリズムの言及

【計算量】より

…アルゴリズムの計算効率や問題の難しさを測るための尺度。主なものに,時間効率を測るための時間計算量,メモリー効率を測るための領域計算量などがある。…

【フワーリズミー】より

…アラル海の南ホラズムの出身で,アッバース朝のカリフ,マームーン治下のバグダードで活躍した。われわれが今日用いているアラビア数字は,彼がインドから導入したもので,アラビア記数法やそれに基づく計算を意味する〈アルゴリズム〉という語は,彼の名前が転訛したものである。彼の著作のうち最も有名なものは《代数学》で,これはアラビア数学の嚆矢をなすばかりでなく,後のヨーロッパに初めて代数というものの存在を教えたものであることは,アルジェブラalgebra(代数学)という語がこの本の書名の一部al‐jabr(移項して負の項をなくす操作)に由来することからもわかる。…

※「アルゴリズム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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