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広義には登山全体を指すが,とくに近代登山とその思想を指すといってよい。狩猟や信仰,測量などの目的による登山ではなく,登山そのものを目的として,より高く,より新しく,より困難な登山を目ざすことの中に喜びと楽しみを求め,科学的,総合的に知識と技術を養い,強い情熱をもって全人格的に登山に対していこうとする考え方である。このような考え方の登山者をアルピニストalpinistと呼び,ハイカーhikerとは区別している。この言葉は1787年スイスの学者ソシュールH.B.de Saussureがモン・ブランに登頂したころから用いられ,一般的になったのは19世紀後半に入ってからで,近代的スポーツ登山と同義的に用いられる。日本には1897年ごろからとり入れられ,志賀重昂の《日本風景論》の影響をうけ,1905年小島烏水らによって日本最初の山岳会(後の日本山岳会)が創設された。アルピニズムは処女峰の登頂からバリエーション・ルートの登攀(とうはん)へ,国内の山から海外の山へ,とくにヒマラヤ,アンデスの登山へと進み,技術的にはより困難な登攀の中に喜びを見いだすママリズム(イギリスの登山家ママリーが1880年代に提唱実践した新登頂主義)の影響をうけ,装備の改良と併行して不可能とされた垂直以上の壁の登攀も可能にしていった。地球上の山岳がすべて登攀されても,技術と装備の発達とともにアルピニズムはいよいよ発展を遂げるであろう。
執筆者:徳久 球雄
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