アルプス[山脈](読み)アルプス

百科事典マイペディア 「アルプス[山脈]」の意味・わかりやすい解説

アルプス[山脈]【アルプス】

リグリア海からフランス・イタリア国境,スイスオーストリアスロベニアにわたり,ほぼ東西延長1200kmに及ぶヨーロッパ最大の山脈。山群は西アルプス(マリティム・アルプス,コティエンヌ・アルプス,グレイエ・アルプス,モン・ブラン山塊,中・東部ペニン(ペンニネ)・アルプス),中部アルプス(ベルナー・アルプス,レポンティネ・アルプス,レート・アルプス),東部アルプス(ドロミティ・アルプス,カルニケ・アルプス,ユリスケ・アルプス)に区分され,最高峰はモン・ブラン(4810m)。 地質構造上はスイス以西の西アルプスと東アルプスに区分され,全体として北に倒れた横臥背斜とおしかぶせ断層によるデッケン構造が著しく,浸食の程度に応じクリッペ地窓が発達。中生代の地向斜に始まり,白亜紀〜古第三紀に褶曲(しゅうきょく)・隆起,第三紀末〜第四紀にさらに隆起。ライン,ローヌ,ポーの3水系やドナウ支流の水源。東西・南北ヨーロッパの気候や文化の差に大きく影響。先史時代から集落があり,通行容易な交易路が早くから開けた。酪農林業,水力利用が行われ,保養・観光地に富む。H.B.deソシュールのモン・ブラン登頂以来アルピニズムメッカとなっている。→アルプス造山運動
→関連項目イタリアオーストリアスイスフランスリヒテンシュタイン

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世界大百科事典 第2版 「アルプス[山脈]」の意味・わかりやすい解説

アルプス[山脈]【Alps】


[地形,気候]
 ヨーロッパ大陸の南西部を東西に半月形の弧を描いて横たわる大山脈。アルプスは英語での呼称で,フランス語ではアルプAlpes,ドイツ語ではアルペンAlpen,イタリア語ではアルピAlpiと呼ばれる。延長約1200km,幅130~200kmに及ぶ。ザンクト・ゴットハルト峠で山脈を東西に二分すると,東アルプスは西アルプスより多くの山脈に分枝して,幅は広いが高度は低い。総面積は約18万km2で,その40%が西アルプスに,その60%が東アルプスに属する。

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世界大百科事典内のアルプス[山脈]の言及

【アルプス・ヒマラヤ地帯】より

…アルプス山脈付近から西アジアを経て,ヒマラヤ,インドネシアに続く地球上最大の山脈系の一つ。その西端はスペイン・フランス国境のピレネー山脈や北アフリカのアトラス山脈で,これからアペニノ山脈,アルプス山脈,カルパチ山脈,ディナル・アルプス山脈,小アジア半島,カフカス山脈,ザーグロス山脈,ヒンドゥークシュ山脈と続いて,ヒマラヤ山脈に至る。…

【イタリア】より

…正式名称=イタリア共和国Repubblica Italiana面積=30万1225km2人口(1996)=5746万0274人首都=ローマRoma(日本との時差=-8時間)主要言語=イタリア語通貨=リラLira長靴形に地中海に突出した半島を主体とする共和国。北はアルプスを境としてフランス,スイス,オーストリアに接し,東は地続きのユーゴスラビアとともにアドリア海を抱き,西はティレニア海に臨む。
【国土と住民】
 現在のイタリア共和国の範囲がイタリアとして理解されるようになるのは,近代になってこの範囲においてトスカナ語が共用語として用いられるようになってからのことである。…

【ドイツ】より

オーストリアスイス
【自然】

[地形,地質]
 ドイツは地表面の起伏とその成立ちの点から3地域に区分されることが多い。それらは北ドイツ低地Norddeutsches Tiefland(北ドイツ平原),中山山地Mittelgebirge,アルプスである。中山山地は地塊山地地域と南西ドイツ階段状山地地域に,アルプスはいわゆる高山のアルプスとアルプス前縁地Alpenvorlandとにさらに細分されることがある。…

【登山】より


【歴史】
 モーセはシナイ山で神の啓示を受けた。ハンニバルは前218年第2次ポエニ戦争で,兵約6万と象37頭を率いてピレネーやアルプスの山脈を越えたといわれる。歴史の中で山はときに聖なる所であり,ときに悪魔の住む所,あるいはまた戦いのため,生存のため征服し,切りひらくものであった。…

※「アルプス[山脈]」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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