出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
アルメニア
Armenia
正式名称 アルメニア共和国 Hayastani Hanrapetut'yun (アルメニア語) 。
面積 2万9743km2。
人口 296万5000(2021推計)。
首都 エレバン。
ザカフカジエ (後カフカス地方) 南部の国。北はジョージア(グルジア),東はアゼルバイジャン,南はイラン,西はトルコと国境を接する。国土の 90%以上が標高 1000m以上の高地にあり,地形は北の小カフカス山脈と南のアルメニア高原に大別される。大きな平地は南西部,アラガツ山南麓に広がるアララト平野にみられるにすぎない。気候は大陸性で,山地斜面を除いて乾燥しているが,地域差が著しい。平均気温は1月平地・山麓部-5℃,山地-12℃,7月平地 25℃。ステップ,半砂漠地帯に属し,灌漑農業が発達している。住民の 90%以上がアルメニア人で,ほかにアゼルバイジャン人,クルド人,ロシア人などが住む。公用語はアルメニア語。紀元前より文明の発展したアルメニアは,14世紀にその独立を失い,以後他民族の占領・支配下に入ったが,1920年旧ロシア領内にあった地域が独立し,アルメニア=ソビエト社会主義共和国を形成。 1936年ソ連の構成共和国となった。 1990年現国名に改称。 1991年9月独立し,独立国家共同体 CISに加盟。 1992年3月国際連合加盟。独立後はナゴルノカラバフ自治州 (アルメニア人が大部分) の帰属をめぐってアゼルバイジャンとの武力紛争が続いている (→ナゴルノカラバフ問題 ) 。農業部門ではブドウをはじめとする果樹栽培が盛んで,高山草地ではヒツジの放牧が行なわれる。鉱工業では銅,モリブデンの採掘・加工,豊富な水力を利用した発電によるアルミニウム製造,化学 (硫酸,カーバイド,合成ゴム,肥料) ,電気機械,繊維,皮革・製靴,食品 (ブランデー,果実・野菜缶詰) などの工業が発達し,エレバン,キロバカン,アラベルジなどに立地している。主要交通機関は鉄道で,トルコとも連絡している。
アルメニア
Armenia
コロンビア中西部,キンディオ州の州都。首都ボゴタの西約 180km,アンデスの中部山脈西斜面に位置し,標高約 1460m。 1889年建設。コーヒー栽培を中心とした肥沃な農業地帯の中心地で,コーヒーのほか,トウモロコシ,豆類,サトウキビ,バナナなどを集散,加工する。近くで石炭を産する。キンディオ大学 (1960) 所在地。同国太平洋岸と内陸部にある首都を結ぶ交通の要地で,太平洋岸の主要港ブエナベントゥラから市まで鉄道が通じ,市でアンデス越えのキンディオ峠を経てボゴタ方面へ通じる幹線道路に接続する。人口 22万 303 (1995推計) 。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
アルメニア
Armenia
南カフカース,トルコ,イランにまたがる地域。前13世紀にウラルトゥの前身ナイリが,前9世紀にウラルトゥが興り,前6世紀にはアケメネス朝のアルメニア州を構成した。ヘレニズム期にはアルタシャト朝が地中海,黒海,カスピ海に至る大国家を形成したが,この領域を歴史的アルメニアと呼ぶ。ティグリス,ユーフラテスなどの河川の源流にあたり,最高地点は大アララト山(標高5205m)である。パルティアの分家アルシャク朝をへて,アラブ征服後,9世紀にはアルメニア系バグラト朝,アルツルニ朝が興り,11世紀にはトルコ系サルトゥク朝,12世紀にはトルコ系シャフアルメン朝,クルド系アイユーブ朝,またグルジア王の家臣ザカリヤン家領などが成立した。オスマン帝国,サファヴィー朝,ロシア,ソ連などの支配をへて,現在はこの地域の一部にアルメニア共和国が存在する。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
アルメニア
Armenia
カスピ海と小アジアの間の地方およびその地の共和国の名称
前2世紀には大アルメニア王国・小アルメニア王国が成立し,その後,古代ローマ・ペルシア帝国・ビザンツ帝国・イスラーム諸王朝・セルジューク朝の支配下にはいった。1220年チンギス=ハン,1399年ティムールによって征服され,住民は四散した。18世紀になると,オスマン帝国・ロシア・イランの勢力争いの場となり,19世紀初め,大半はロシア領となった。1922年ソ連に加盟(1936年独立して直接加盟),世界各地に放浪していたアルメニア人で帰国したものが多かった。住民の多くはキリスト教徒(アルメニア正教徒)であり,隣接するイスラーム教徒の多いアゼルバイジャンとの間で,ソ連時代末期に民族・領土紛争が激化。1991年末のソ連崩壊後,アルメニア共和国となり独立国家共同体(CIS)に加盟。
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
アルメニア【Armeniya】
ヨーロッパ南東部,ザカフカスのアルメニア共和国と,トルコ東部のアルメニア高原を中心とする地域の歴史的な呼称。アルメニア人は自らをハイ(複数はハイク)といい,この地域をハイアスタンまたはアイアスタンと呼ぶ。かつて彼らが主要な住民として生活していた地域の範囲は,現在よりはるかに広く,そのため古くは,北は現在のグルジア,東はアゼルバイジャンを経てカスピ海沿岸まで,南はメソポタミアの低地,西は小アジアの東半を占めるカッパドキアまでという広い地域をアルメニアと称したこともあった。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報