翻訳|anticodon
遺伝学で用いられる単位の一つ。タンパク質合成に働く転移RNA(運搬RNA)の構造の一部であり、遺伝暗号の単位であるコドンを識別する部分で、三つの隣接したヌクレオチドからなる。タンパク質合成のとき、リボゾーム上でメッセンジャーRNA(伝令RNA)のコドンと相補的な塩基対をつくり、コドンの指定するアミノ酸をタンパク質鎖に結合する。たとえば、アミノ酸の一種のセリンを運ぶ運搬RNAではUCGという塩基配列がアンチコドンであり、この部分がセリンの遺伝暗号であるコドンAGCを識別し、この位置にセリンを結合させ、タンパク質鎖をつくる。
[石川辰夫]
コドンを認識し結合する配列.コドンはmRNA上の3ヌクレオチドずつからなる配列であるが,アンチコドンはtRNA上にあってコドンと相補的な配列を有する.コドンと同様,アンチコドンも3ヌクレオチドからなる.コドンがアンチコドンによって認識されることにより,タンパク質合成の際のアミノ酸の結合順序が決まる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…アミノ酸はアミノアシル化酵素(正式にはアミノアシルtRNAリガーゼ)の働きで,tRNAの3′末端のアデノシンのリボース部分とエステル結合を形成し,リボソームへ運ばれる。tRNA分子のほぼ中央部分には,アンチコドンと呼ばれる3塩基よりなる部位があるが,この塩基配列がmRNA上のコドンを解読する。コドンの3塩基とアンチコドンの3塩基とのワトソン=クリック型の相補的な対合がこの解読の主役となる。…
…mRNA分子上のコドンの配列をアミノ酸配列に変換する能力をもつ転移RNA(tRNA)は,各コドンに対応して多種類のものが細胞内に存在している。このtRNA分子はそれぞれ特異的なアミノ酸を一端に結合し,また分子の別の個所に,mRNAコドンに相補的に結合する三つ組塩基配列(アンチコドンanticodon)をもっている。コドンとアンチコドンは逆向きに結合する。…
…mRNA上の3個の塩基配列が単位となって,1個のアミノ酸を指定しているが,この3塩基からなる単位をコドンcodonと呼ぶ。コドンをアミノ酸に解読する過程には,tRNAが関与し,tRNA分子のアンチコドンanticodon部位の3塩基が,コドンの3塩基と相補的な対合をすることで解読が成立する(〈RNA〉の項目の転移RNAの部分を参照)。 mRNA分子は,アミノ酸の配列を指定する塩基配列以外にも,その前後に余分な塩基配列をもつのが通例である。…
…アミノ酸は転移RNA(tRNAと略記)に共有結合した型で,リボソームへと運ばれる。おのおののアミノ酸種には異なったtRNA分子が対応しており,tRNA分子上にはmRNAのコドンを解読するアンチコドンanticodonという部位が存在する。mRNA上のコドンの順番に従って,アミノ酸はリボソーム上で,tRNAからペプチド鎖へと順次引き渡されていく(遺伝情報の翻訳)。…
※「アンチコドン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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