インド語派(読み)インドゴハ

デジタル大辞泉 「インド語派」の意味・読み・例文・類語

インド‐ごは【インド語派】

インド‐ヨーロッパ語族の一語派。主としてインドで使用され、古代サンスクリット語、中世のプラークリット語パーリ語近代ヒンディー語などを含む。

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百科事典マイペディア 「インド語派」の意味・わかりやすい解説

インド語派【インドごは】

インド・ヨーロッパ語族に属する語派の一つ。古層(ベーダ語)はイラン語派と酷似している。ミタンニ文書に含まれるインド語は,この派の一部が前1500年ごろに小アジアにいたことを証明する。インダス川流域よりインドに侵入したアーリヤ人ベーダ聖典を最古文献とするが,これと古典サンスクリットとの間には方言差がある。中期インド語(パーリ語を含むプラークリット語)が母体となって,ヒンディー語ベンガル語マラーティー語ウルドゥー語シンハラ語ネパール語パンジャービー語などの近代語の諸方言が成立した。ジプシーの言葉も北西インド方言に由来する。→インド・イラン語派
→関連項目カシミール語ヒンドゥスターニー語

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世界の主要言語がわかる事典 「インド語派」の解説

インドごは【インド語派】

インドヨーロッパ語族の一語派。この語派の最古層にあるベーダ語イラン語派のアベスタ語と近縁で、両派の話し手がアーリア人と自称していたことから、インドアーリア語派とも呼ばれる。歴史的には、複雑な屈折語であるベーダ語が規範化されたサンスクリット民衆の言葉として広がったプラークリット諸語(アショーカ王の碑文(ひぶん)、パーリ語などとして残る)などをへて、現在では、各国の公用語であるヒンディー語(インド)、ウルドゥー語パキスタン)、ネパール語(ネパール)、ベンガル語バングラデシュ)、シンハラ語(スリランカ)をはじめ、パンジャーブ語グジャラート語、カシミール語、ビハール語、アッサム語など多くの言語に分かれ、南部をのぞくインド亜大陸全域に分布している。ヨーロッパ各地で話されるロマーニ語もこの語派に属する。◇インドアーリア語派ともいう。

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世界大百科事典 第2版 「インド語派」の意味・わかりやすい解説

インドごは【インド語派 Indic】

インド・ヨーロッパ語族の一語派。この語派は前10世紀をさかのぼると推定される《リグ・ベーダ》から現代のインド・アーリヤ諸語に至る長い歴史と膨大な量の文献をもち,この語族の比較研究にもっとも重要な位置を占めている。その古層であるベーダ語は,隣接するイラン語派のもっとも古い文献である《アベスター》の言語とあらゆる点で類似が著しいので,このインド,イランの両語派は先史時代に一つのまとまりをなしていたと考えられる。

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世界大百科事典内のインド語派の言及

【インド】より

…この種族の言語はインド・アーリヤ語といわれ,歴史的にベーダ語,サンスクリット語,諸プラークリット語,諸アパブランシャ語などの段階を経てしだいに分化し,10~13世紀ころには今日の北インドの主要な民族語を生み出すこととなった。ヒンディー語,ベンガル語,マラーティー語などがそれで,それぞれ数百万人から1億人の話者人口をもち,全人口の73%を占める(インド語派)。 インド亜大陸にはこのように,5系統の種族が次々と移動して来て,あるいは通過し,多くはそこに定住して,相互に影響を及ぼし合った。…

【ベーダ語】より

…インド・ヨーロッパ語族のインド語派の最古層の言語。イラン語派の古いアベスター文献の言語とは,英語とドイツ語よりさらに近い関係にある。…

※「インド語派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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