(長門谷洋治)
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イギリスの医師。幕末に来日し,日本に近代西洋医学,ことにイギリス医学を紹介した。アイルランド,フェルマナー州生れ。エジンバラ大学卒業,ロンドンのミドルセックス病院の医員を経て,1862年横浜にイギリス公使館付医官として赴任したが,イギリス人医師の来日としては最も早い時期に属する。68年の鳥羽・伏見の戦で薩摩藩に招かれ戦傷兵の治療にあたったほか,横浜の軍陣病院,さらに東北の各地で大きな活躍をなし,68年東京府の大病院院長となった。69年日本は医学の範をドイツにとることとしたので,功績のあったウィリスの処遇が問題となり,政府は西郷隆盛に対処を依頼。西郷は彼を鹿児島病院院長兼医学校校長として招いて高給で遇した。その講義は《日講紀聞》などの形でのこされ,《黴毒新論》(1872)の著もあり,日本の医学・医療に大きな影響を及ぼした。75年に帰国したが,76年,81年の各年にも来日し,85年にはバンコクのイギリス公使館付医師となり,公衆衛生,医学教育に貢献,92年帰国した。妻は日本人で名は八重子。
執筆者:長門谷 洋治
イギリスの医学者。ローヤル・ソサエティ会員。オックスフォード大学で自然哲学の教授となったが,のちに開業し,解剖,生理,化学を研究,1666年ロンドンに移った。ローヤル・ソサエティの有力メンバーで,R.フックやJ.メーヨーは弟子筋にあたる。1664年《脳解剖学》を著し,〈ウィリスの大脳動脈輪〉の医学用語をのこした。てんかん,ヒステリー,重症筋無力症,発疹チフス,腸チフス,流行性脳脊髄膜炎,産褥(さんじよく)熱,喘息(ぜんそく),噴門痙攣(けいれん)症,胸膜炎,百日咳,糖尿病の尿の甘味,四日熱に対するキナ樹皮の有効性など,多くの報告がある。
執筆者:古川 明
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1837.5.1~94.2.14
幕末・維新期のイギリスの外交官・医師。北アイルランド生れ。1859年エジンバラ大学卒。62年(文久2)5月,駐日イギリス公使館補助官兼医官として来日。68年(明治元)の戊辰戦争に従軍し敵味方の別なく負傷兵を治療した。翌年,明治政府に請われて医学校および東京府大病院に勤めるが,ドイツ医学採用という政府の方針転換により,同年鹿児島医学校兼病院に転じ,一時帰国をはさんで77年3月まで同地で勤務し離日。85年シャム国イギリス総領事館医官に任じられ,92年まで在職。
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…アラビア医学ではラージーとイブン・シーナーがこの病気について述べており,16世紀のパラケルススも知っていた。糖尿病を初めて近代医学的に研究したのは17世紀のイギリスの医学者T.ウィリスであり,19世紀のフランスの医学者C.ベルナールは血糖をとりあげ,糖尿病が病理学的に解明される道を開いた。 糖尿病は文明国ほど多く,また文字に親しむ人に多いともいわれる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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