改訂新版 世界大百科事典 「ウェイト」の意味・わかりやすい解説
ウェイト
weight
重み,加重ともいう。n個の数値x1,x2,……,xnがあって,それぞれの軽重の度合が違うとき,それらの平均値を算出するには,単純な相加平均でなく,適当な重みw1,w2,……,wnをつけた加重平均m=(w1x1+w2x2+……+wnxn)/(w1+w2+……+wn)を考える必要がある。例えば物価指数を求める場合や,各xiが代表する集団の大きさが違うときの平均値を求める場合など,事情に応じてウェイトwiを決めることができる。また,精度が一様でない機器による観測値x1,x2,……,xnがあるとき,各xiに対するウェイトwiは,観測の標準偏差(標準誤差)をσiとするときwi=σ2/σ2iとして定められる(σは定数)。実際,i番目の観測値を表す確率変数をXiとおくときその平均値は真の値で,分散がσi2である。任意mに対して(Xi-m)/σiをとれば分散は1で尺度がそろう。そこで,Xiの実現値xiに対し(x1-m)2/σ12+(x2-m)2/σ22+……+(xn-m)2/σn2を最小にするm,すなわち加重平均は真の値のよい推定値になる。そのときのウェイトwiは1/σi2に比例している。
執筆者:飛田 武幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報