ウェルキンゲトリクス(英語表記)Vercingetorix

改訂新版 世界大百科事典 「ウェルキンゲトリクス」の意味・わかりやすい解説

ウェルキンゲトリクス
Vercingetorix
生没年:前82ころ-前46

前52年のガリア人の大反乱の指揮者。アルウェルニ族の有力者の子。父は王位を望んだという嫌疑で殺された。前52年にカルヌテス族が反乱をおこしたのに呼応して,自己の部族の者ばかりではなくガリア全体に反乱を呼びかけて同盟軍を組織,その指揮者となった。数々の合戦で一時はカエサル窮地に追い込んだが,アレシアの戦で攻囲されて大敗した。降伏後ローマで投獄され,6年後の前46年にカエサルの凱旋式のあと処刑された。なおロマン主義時代にガリアの愛国主義者と賛美され,19世紀末にはフランス国民の英雄,20世紀初頭にはフランス史における最初の抵抗運動家という評価が与えられた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のウェルキンゲトリクスの言及

【アレジア】より

…ケルト民族の〈錫の道〉に面し青銅器製造の中心地の一つであった。8万の軍を率いるガリアの武将ウェルキンゲトリクスが7ヵ月籠城し頑強に抵抗したが,ここでカエサルに敗れ,捕虜となってローマで刑死した。【松原 秀一】。…

【カエサル】より

…ポンペイウスとクラッススとの盟約(三頭政治)は,前56年にルカで固められ,彼の属州支配権も5ヵ年延長されたが,元老院保守派との関係はしだいに悪化してゆく。前52年のウェルキンゲトリクスに率いられた全ガリアの蜂起も,アレシアの包囲戦で抑えることができ,翌年も戦闘はみられるが,一応ガリアでの戦いに終止符をうった。 長年にわたるガリア戦争は,ローマの国庫を潤したのみならず,彼の経済力・政治的発言力を増大させた。…

※「ウェルキンゲトリクス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ゲリラ豪雨

突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...

ゲリラ豪雨の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android