ウェルギリウスの死(読み)ウェルギリウスのし(英語表記)Der Tod des Vergil

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェルギリウスの死」の意味・わかりやすい解説

ウェルギリウスの死
ウェルギリウスのし
Der Tod des Vergil

オーストリア作家 H.ブロッホ小説。 1945年刊。ローマ詩人ウェルギリウスの死の直前の 18時間を内的独白によって綴る思想詩ともいうべき作品で,現代散文の極致と目される。ブロッホはここで,現代と同じ転形期に生きたと考えるこの詩人が大叙事詩『アエネイス』の破棄を遺言したことをとらえて,現実に対する文学の無力をテーマに,価値崩壊の時代である現代を批判している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

メタン

化学式 CH4 。最も簡単なメタン系炭化水素で,天然ガスの主成分をなしている。また石炭ガスにも 25~30%含まれる。有機物の分解,たとえばセルロースの腐敗,発酵の際に生成され,沼気ともいわれる。また...

メタンの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android