改訂新版 世界大百科事典 「ウォッカ」の意味・わかりやすい解説
ウォッカ
vodka
アルコール分40%以上の無色透明の蒸留酒の一種。名称はロシア語のワダvoda(水)に由来する。ロシアで穀類からつくりはじめたのは14世紀末である。その製造と販売はつねに国家のきびしい規制を受け,ウォッカに課される税金は国庫の最も重要な収入源となった。ふつう小麦,大麦,ライ麦,トウモロコシなどの穀類あるいはジャガイモを原料とするが,ブドウ,サクランボ,リンゴ,ナシなどの果実や蜂蜜からもつくることができる。上述の原料を糖化・発酵させ,2度にわたって蒸留してから,ボダイジュあるいはシラカバの活性炭をつめた濾過装置を通過させる。これによって不純物や異臭が除去されるとともに,独特の風味が加わる。この持味を保つため熟成は行わない。ウォッカの中に各種の草,種子,果実,根,香料などを浸して,浸酒をつくることも広く行われる。ロシアでの飲み方は,よく冷したものを脚のついた小型のグラスにそそぎ,あおるように一気に飲みほすのが正統的とされる。1917年のロシア革命の後,亡命したロシア人の手で製法が伝えられ,アメリカをはじめ世界各国でウォッカが製造されるようになった。それと同時に,ウォッカをさまざまなカクテルのベースに利用する飲み方も普及している。
執筆者:中村 喜和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報