ウコギ(読み)うこぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウコギ」の意味・わかりやすい解説

ウコギ
うこぎ / 五加木
[学] Eleutherococcus sieboldianus (Makino) Koidz.
Acanthopanax sieboldianus Makino

ウコギ科(APG分類:ウコギ科)の落葉低木。ヒメウコギともいう。高さ3メートル。枝は灰褐色で刺(とげ)があり、地表につくと根を出して新苗となる。葉は普通5枚の小葉からなる掌状複葉で、長さ3~10センチメートル、長い葉柄がある。小葉は鋸歯(きょし)があり、厚く無毛。花は5~6月、短枝の先に単生した径約2センチメートルの散形花序につき、淡黄色。雄しべ5本、子房は5~7室。花序の柄は葉柄と等長かあるいはより長い。雌雄異株。果実は球形で5~7稜(りょう)があり、黒く熟す。本州野生化したものもみられるが、原産地は中国。名は中国名の五加の唐音ウコと木の日本読みギとからなる。生け垣としてよく植栽される。ウコギ属はアジア東・南部に固有で約40種からなり、日本には野生化したものも含め、8種がみられる。

[門田裕一 2021年11月17日]

 若芽はほろ苦味を有し、香りも強く、香味野菜として用いられ、ゆでて浸し物や和え物などにし、刻んで塩味をつけ、飯に炊き込む。葉は茶の代用にもなる。ウコギの根の皮をはぎ乾燥したものを五加皮(ウーチヤーピー)とよび、芳香を有し強壮剤として使われている。五加皮に多く漢薬を混ぜてつくる中国の五加皮酒(ウーチヤーピーチウ)は、強壮滋養酒として昔から使われている。

[齋藤 浩・星川清親 2021年11月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウコギ」の意味・わかりやすい解説

ウコギ
Acanthopanax sieboldianus

ウコギ科の落葉低木で,ヒメウコギとも呼ばれる。中国原産であるが,生垣に植えられたものが野生化していることもある。枝は灰白色で鋭い針をもち,長枝と短枝の区別がある。葉は5小葉の掌状複葉,深緑色で長い柄があり,長枝には互生し,短枝では密生する。初夏,短枝の葉の間から長い柄のある半球形の散形花序を出し,多数の黄緑色の小花をつける。果実は球形の液果で黒く熟する。若葉はあえ物などにして食べ,またうこぎ飯にする。乾燥した葉は茶の代りとなる。根の皮を乾燥したものが生薬の五加皮 (ごかひ) で強壮剤として用いられ,また五加皮酒を造る。近縁のヤマウコギは北海道と本州に自生する。このヤマウコギを単にウコギと呼ぶこともあり,その場合は本種をヒメウコギといって区別する。

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百科事典マイペディア 「ウコギ」の意味・わかりやすい解説

ウコギ

ヒメウコギとも。中国原産の落葉低木。生垣に植えられ,野生化もする。枝はよく茂ってとげがあり,葉は掌状に5小葉に分かれる。初夏に葉腋に黄緑色で5弁の小花を散状につけ,花柱は5中裂する。雌雄異株で,日本ではふつう雌株しか見られない。新芽は食用,根の皮は五加皮(ごかひ)と呼ばれ,薬用,滋養強壮に用いられる。近縁で花柱が2個ある野生のヤマウコギと混同されることもある。

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