ウド
うど / 土当帰
独活
[学] Aralia cordata Thunb.
ウコギ科(APG分類:ウコギ科)の多年草。茎は高さ約2メートル、葉は長さ1メートルを超え、茎に互生し、長さ10~15センチメートルの卵形の小葉が2回羽状に集まる大形の複葉である。夏に茎上部にいくつかの球状に集まった多数の小花をつける。花は径約3ミリメートルで花弁は5枚。果実は径約3ミリメートルの球形で、秋に黒く熟す。北海道から九州まで各地の山野に自生し、アジア東部温帯に広く分布する。
自生種は山ウドと称し、若芽や茎を食用としてきたが、古くから栽培もされ、軟白栽培は江戸時代中期から京都を中心に始まった。秋から冬に根株を掘り上げ、フレーム内で加温、遮光し、太く、長く、軟らかな茎を育てる。栽培品種群は北海道の野生種からつくりだされ、休眠性がなく低温でも芽が出る寒ウドと、休眠性がない春ウドとに分ける。春ウドのほうが茎が太く品質も優れているので、現在栽培されるのはほとんど春ウドである。
[星川清親 2021年11月17日]
若い茎はアスパラギンを含み、香りが高く、歯ざわりがよい。古くから春の風味として親しまれてきた。微量のタンニンを含むため、切り口は褐変しやすい。このため、料理の見栄えを損ないやすいので、切ったものを酢水に漬け、水にさらしてから利用するとよい。くせが少ないので比較的料理しやすく、ぬたや酢の物、和(あ)え物、煮物、汁の実などとするほか、サラダにもよくあう。また、刺身のつまや、料理のあしらいとする。山採りのものは、茎は短いが香りが強い。若い葉をつけたまま、てんぷらにするとよい。
[星川清親 2021年11月17日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ウド
《栄養と働き&調理のポイント》
山野に自生する多年草で、若い茎がおもに食用に使われていますが、若芽や若葉、ツボミなども食べられます。
店先に並んでいるものには、ハウス内で根株に盛り土をして緑化された山ウドと、日にあてずに軟白栽培(なんぱくさいばい)された白いウドがあります。
旬(しゅん)は冬から春で、山ウドのほうが香りが強く、シャリシャリとした独特の歯触りが楽しめます。
○漢方的な働き
ウドは水分が多く、糖質が主体の野菜です。
ビタミンやミネラルの供給源にはなりませんが、漢方ではかぜの初期の発汗解熱、神経痛、リウマチ、頭痛などの痛みをやわらげる働きがあるとされています。
その際は、独活(どっかつ)(ウドを日干しにしたもの)を細かく刻み、1日量10gをコップ3杯の水で煮詰め、カスを取り除いて、食間3回にわけて飲むとよいとされています。
食材としてのウドは、おもに汁ものの具や酢のもの、煮ものなどに使われます。
サラダとして生のまま食べるのもいいでしょう。
滋養に効果的です。アクが強いので、調理の際は皮を厚めにむき、切ったらすぐに酢水につけましょう。皮は千切りにして水にさらし、軽くゆでてからキンピラにするといいでしょう。
出典 小学館食の医学館について 情報
ウド
ウコギ科の多年草。日本全土,東アジアに分布し山野にはえる。高さ1.5mほどになり,茎は太く,羽状複葉を互生する。小葉は卵形で鋸歯(きょし)がある。8月,小さな淡緑色の5弁花が散形に集まってつく。若い芽,茎は特有の香りと風味をもち,食用とされる。春の代表的な山菜であり,また,野菜として古くから栽培される。低温で発芽する寒ウドと,春,気温上昇とともに発芽する春ウドがある。溝,穴蔵,小屋掛け,盛土などを利用して,若い茎を軟白して(軟化栽培)食用にする。春の季節ものとして,生食,酢の物,煮物などにされる。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
ウド
[Aralia cordata].セリ目ウコギ科タラノキ属の多年草で,若い芽を食用にする.本来山菜であるが,栽培されたものも広く食用にされる.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報