ウバイド(読み)うばいど(英語表記)al-Ubaid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウバイド」の意味・わかりやすい解説

ウバイド
うばいど
al-Ubaid

イラク南部、ユーフラテス川の西方砂漠にある、ウバイド期の標準遺跡。紀元前5000年紀後半から前3500年ごろに位置するものとされる。ウバイド期はエリドゥ期やハジ・ムハンマド期のあとに成立した文化期で、南メソポタミアではもっとも古く、それ以前の文化期を原ウバイド期とする学者もある。ウバイドからは土器が大量に出土したが、層位的にはっきりしていない。むしろ、南東にあるエリドゥにおいて、ウバイド期の層が8層から6層にみられる。ウバイド期は前・後の2期に分けられ、自給的な村落から交易を含む神殿中心の村落への移行が認められる。神殿はエリドゥ、ウルクウルにみられ、ウルでは処女層の上に初期のものがみられる。北メソポタミアでは、神殿中心の村落形態はよりいっそう明確となり、テペ・ガウラではウバイド前期に属する神殿が建てられている。

[糸賀昌昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウバイド」の意味・わかりやすい解説

ウバイド
Al-Ubayyiḍ

スーダン中南部にある町。別称オベイド El-Obeid。首都ハルツーム南西約 360km,標高 570m,砂地低木の繁茂した高原上に位置し,周囲防砂林で囲まれる。1821年,エジプト人によって創設されたが,1883年1月ムハンマド・アフマドによって破壊され,1899年再建された。ハルツームから鉄道が通じ,この地方の通信,商業の中心地。周辺地域はアラビアゴム主産物とし,ほかミレット雑穀),種油を産し,牧畜も行なわれる。人口 34万5126(2008)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のウバイドの言及

【オベイド】より

…スーダン共和国の中央部,コールドファン州の州都。アラビア語ではウバイドal‐Ubayḍ。人口22万8000(1993)。…

※「ウバイド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android