エゴイズム(読み)えごいずむ

デジタル大辞泉 「エゴイズム」の意味・読み・例文・類語

エゴイズム(egoism)

自分の利益中心に考えて、他人の利益は考えない思考行動様式利己主義
哲学で、自我だけが確実に存在し、他は一切認識不能であるとする説。唯我ゆいが論。独我論
[類語]利己主義エゴ個人主義エゴチズムミーイズム

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精選版 日本国語大辞典 「エゴイズム」の意味・読み・例文・類語

エゴイズム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] egoism )
  2. 自分の利益だけを考え、他人のことを省みないこと。自己本位。わがまま。自己主義。利己主義。
    1. [初出の実例]「一己主楽教(インヂウヰヂュオル・ヘドニズム)は、又以彼古羅教(エピキュリヤニズム)或は主我教(イゴイズム)と名づけ」(出典:倫理新説(1883)〈井上哲次郎〉)
  3. 確実に存在するのは自我だけであるとする立場。自我主義。〔外来語辞典(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「エゴイズム」の意味・わかりやすい解説

エゴイズム
egoism

日常用いられている意味では,エゴイズム(利己主義)とは自己の欲望の充足あるいは利益の追求をもっぱら念頭において行動し,その行動が他者や社会一般に及ぼす迷惑を考慮に入れない態度を指す。エゴイズムという語は個人主義individualismという語と同じ意味に用いられることもある。しかし個人主義という概念は自律autonomyの要素を含むと考えるなら,エゴイズムはしばしば個人主義ではない。なぜなら,エゴイストはしばしば特定の対象を他者が欲しているがゆえにその対象を自分もほしがり,一般に利益と思われているものを自分の利益と考えるからである。彼は自分の本当の欲望,本当の利益が何であるかをしばしば反省しようとしない。

 エゴイズムとほとんど同じ意味に用いられるエゴティズムegotismという語がある。エゴティズムは欲望や利益よりも,むしろこれらの担い手である自我egoそのものを常に念頭におく態度である。エゴティスト自尊心のために自分の欲望や利益を犠牲にすることもあるので,この点でエゴイストと区別される。一方,社会の因習や集団のエゴイズムに対抗して,エゴティストがみずからの自我を防衛し,かつ積極的に主張する場合(たとえばスタンダールエゴティスム),彼のエゴティズムは個人主義の一形態であるロマン主義的個人主義と区別しにくい。しかし,かけがえのない個性を尊重するロマン主義的個人主義といえども,人はだれでも個性をもつという論法で,普遍主義へ向かう傾向が含まれている。したがってそれは異なった個性の並存という社会秩序への志向を暗に含む。これに反してエゴティズムが極端になると,M.シュティルナーが主張したように,自分自身の自我のほかに実在するものは何もなく,世界は自分のためだけに存在するにすぎない。このようにエゴティズムの極限は社会秩序への志向をまったく欠いているので,その極限の形態は個人主義と完全には重ならない。

 É.デュルケームは自殺の一つの類型に利己的自殺suicide egoïsteという名称を与えた。彼によれば,人間はひとりでは生きていく目的を見いだすことができない。ところが社会集団の結合が全般的に弱くなった近代社会では,もっぱら自分のことばかり考える傾向が広がり,この傾向に過度にとらわれた個人は,生きる意欲を失って自殺する。この型の自殺が利己的自殺である。その場合彼はエゴイズムの語をエゴティズムの意味で用いている。

 要するに,自律性と秩序志向の両方をまったく欠いた自己中心性をエゴイズムの極限形態とみなすなら,この両者のうち自律性が増すにつれてエゴイズムはエゴティズムと呼ばれるにふさわしくなり,さらにそのうえに秩序志向が加わってくると個人主義と呼ばれるにふさわしくなる,ということができよう。
利他主義
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百科事典マイペディア 「エゴイズム」の意味・わかりやすい解説

エゴイズム

〈利己主義〉と訳され,一般に自己の欲望の充足と利益の追求をもっぱらとする否定的な態度をいう。〈利他主義altruism〉に対する。語源的には自我主義というべきで,自我の完全な実現あるいは自己の利益が人間の行為の目標であり,あらゆる倫理の基盤であるとする考え方。肯定的な意義を強調する場合,エゴティズムegotismという語も用いられる。
→関連項目個人主義

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エゴイズム」の意味・わかりやすい解説

エゴイズム
えごいずむ

利己主義

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エゴイズム」の意味・わかりやすい解説

エゴイズム

自我主義」のページをご覧ください。

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