精選版 日本国語大辞典 「エックハルト」の意味・読み・例文・類語
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中世ドイツの神秘主義思想家。中部ドイツに生まれ、ドミニコ会に入ってケルン、パリなどに学ぶ。のちザクセン地区管区長(1303)、ボヘミア地方副司教(1307)など会の要職にあって、その管轄下の尼僧院の霊的指導をゆだねられていたと考えられる。またパリ、ケルンの大学でも教えた。同じドミニコ会の先駆者アルベルトゥス・マグヌスに続くスコラ学者であるとともに、説教者としても大きな感化を及ぼしたのは、こうした多面的な活動による。ドイツ語による説教、論説は多くの写本として流布し、ラテン語の著作とともに、その思想を知る重要な資料をなしている。晩年、なんらかの理由からケルンの大司教による告発を受け、1329年、その著作からとられた28の命題が、教皇ヨハネス22世の教書で異端的と宣告された。しかしその思想は弟子タウラーやゾイゼHeinrich Seuse(1295?―1366)らに継承され、中世から近世へかけて、多くの神秘主義思想の源流となった。
総じて彼の神秘主義は、キリストとの愛の合一を説く情感的なものではなく、知的、思弁的な色彩が強い。その中心をなすのは「魂の根底」または「魂の火花」の概念である。人が純粋に神を念じ、自己を脱却していくならば、ついには神がつねに心に現前するようになる。これが「魂(の根底)における神(の子)の誕生」であり、神と自己との合一にほかならない。しかもこの神は、伝統的な人格神というよりは、それを超えた「神性」である。このように人格的神をも突破して「神性の無」に到達しようとするところに、エックハルトの背景をなす新プラトン主義的な否定神学の影響をみることができる。さらに、ただ瞑想(めいそう)に沈潜するにとどまらず、神との合一から進んで現実の活動に立ち向かうことが求められる。ここに、一部はその時代の精神とも関連した活動性を認めることができる。
[田丸徳善 2015年1月20日]
『エックハルト著、相原信作訳『神の慰めの書』(1949・筑摩書房/講談社学術文庫)』▽『上田閑照編『ドイツ神秘主義研究』(1982・創文社)』
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1260?~1328?
ドイツの哲学者。ドミニコ修道会員。ケルン,パリで新プラトン主義,神秘思想を学び,ライン地方で遊説したが,異端の疑いを受け,宗教裁判中に死んだ。その著作はヨハネス22世によって異端とされた。
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…愛の合一は,魂と言(神の子)との霊的婚姻と考えられ,この考えは以後とくにビンゲンのヒルデガルトなどの中世女流神秘家によって体験的に深められていった。 13世紀末,14世紀初めになるとエックハルトを中心とするドイツ神秘主義の運動が起こり,近世初頭にいたるまで大きな直接的影響を与えた。エックハルトは神秘的合一のうちでさらに神の本質にまで透入し,純なる〈一〉との一,〈一の一なる一ein einic ein〉に徹しようとする。…
…中世後期から近世にかけて,一連の系譜をなすドイツ人神秘家たちによって担われたキリスト教神秘主義の歴史的形態。狭義には,14世紀前半のエックハルト,ゾイゼ,タウラーを中心にした活動とその思想をさし,広義には,その3者以前のビンゲンのヒルデガルトやマクデブルクのメヒティルトMechthild von Magdeburg(1210ころ‐82か94)などの女性神秘家たち,および3者以後その精神をさまざまな変容において継承・展開したニコラウス・クサヌス,ベーメ,さらにはドイツ・ロマン主義のノバーリス,ドイツ観念論のフィヒテ,シェリングなどに及ぶ精神的系譜を総称する。ドイツ神秘主義は,キリスト教史の枠を越えてヨーロッパ精神史を貫流する一大潮流をなしている。…
…ハンス・ザックスらの職匠歌もこれと同じ基盤から生まれる(マイスタージンガー)。その一方散文は別の次元に育ちはじめ,法書《ザクセンシュピーゲル》がドイツ語で書かれたのが一つの実験となって,エックハルトなどの神秘思想家が思弁的表現の領域にこれを活用するようになり,ルターやミュンツァーなどの宗教改革者の論説によって深く民衆に浸透する。ルターの聖書翻訳と印刷術の発明が統一的な文章語の成立と普及に大きな役割を演じ,宗教改革と農民戦争に際して配布された多数のビラ,それにまた《ティル・オイレンシュピーゲル》などの民衆本も,それを助長する効果があった。…
※「エックハルト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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