精選版 日本国語大辞典 「エルニーニョ」の意味・読み・例文・類語
エル‐ニーニョ
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南アメリカのペルー、エクアドル沖で数年に一度、熱帯系の温暖水が突入する海洋の現象。この海域は南大洋(南極海)から北上する寒流のペルー海流(フンボルト海流)が流れており、また岸近くの冷たい湧昇(ゆうしょう)流もあって水温は低い。ここに赤道反流系の温暖水が突入するのがエルニーニョである。これが一度おこると、海洋的には異常高温水が広がり、気象的には海岸にごく近いペルー内陸部に豪雨、洪水をもたらす。海況がまったく変わるため、魚類、プランクトン、とくにカタクチイワシ(アンチョビー)の量が激減し、それを餌(えさ)にする鳥類も死ぬか飛び去ってしまう。世界有数の水産国ペルーにとって大きな海洋災害である。この現象はクリスマスのころにおこることが多いところから、現地では昔からエルニーニョ(スペイン語で幼児、英語でChrist Childの意)とよばれていた。
最近の研究では、エルニーニョは現象的にはペルー沖の局所的なものでなく、太平洋全域の海洋、大気の循環に密接に結び付いていることが明らかになってきた。すなわち、西向きの貿易風が強いとき、赤道水は西太平洋のほうに吹き寄せられ、そこに滞留する。しかし貿易風の風速が弱まると、この暖かい表層水は東太平洋のほうに押し戻され(平均海水温2~3℃上昇)、その結果エルニーニョがおこる。また現在では、コンピュータを使ったシミュレーションなどによって、実際の大気での貿易風の時間変動を与えれば、簡単な海洋モデルを用いてエルニーニョの生成に関する定性的予測(半年くらい先)も可能となった。
近年における顕著なエルニーニョは、1980年代には82~83年、86~87年におきた。83年、87年のエルニーニョ年の夏の日本付近では太平洋高気圧の張り出しが弱く、気温の低い不順な夏であった。ところが90年代になると、80年代と違って小規模なエルニーニョが毎年短期間発生するようになった。80年代までは、エルニーニョの年には日本は暖冬になりやすいといわれたが、90年代には冬の天候はエルニーニョでなくても暖冬の年も多く、日本を含めた中緯度地域の冬の天候とエルニーニョの関係は、今後の重要な研究課題となっている。
[半澤正男・岸保勘三郎]
(饒村曜 和歌山気象台長 / 宮澤清治 NHK放送用語委員会専門委員 / 2007年)
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