精選版 日本国語大辞典 「エーテル」の意味・読み・例文・類語
エーテル
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【Ⅰ】ジエチルエーテルの略称.溶媒などとしてもっとも広く用いられる.[CAS 60-29-7]【Ⅱ】酸素原子に2個の炭化水素基R,R′が結合した有機化合物R-O-R′の総称.R = R′のものを単一エーテル,R≠R′のものを混成エーテルという.R,R′の種類により脂肪族エーテル,芳香族エーテルともよばれる.慣用名では炭化水素基名にエーテルをつけて,単一エーテルはメチルエーテル,エチルエーテルなど,混成エーテルはエチルメチルエーテル,メチルフェニルエーテルなどとよばれる.エーテル中のC-O-C結合はエーテル結合という.環内にエーテル結合をもつ複素環式化合物を環式エーテルとよぶこともある.IUPAC命名法では,RO-原子団を“アルコキシ”とよび,エーテルはその誘導体とみなし,“エチルメチルエーテル”のかわりに“メトキシエタン”と命名する.フェノールエーテルは植物界に広く存在し,香料として利用されるものが多い.低位の脂肪族エーテルはアルコールに濃硫酸を作用させてつくる.とくにフェニルエーテル類は,フェノキシドにハロゲン化アルキルや硫酸メチルを作用させるか(ウィリアムソンのエーテル合成),あるいはフェノールとジアゾメタンから合成される.エーテルは,一般に中性の快香のある揮発性液体である.水に難溶,有機溶媒に易溶.化学的には安定で,金属ナトリウムも反応しないが,ヨウ化水素,五塩化リンなどで分解して,アルコールやハロゲン化物を生成する.
ROAr + HI → ArOH + RI
ROR′ + PCl5 → RCl + R′Cl + POCl3
エーテルは,ハロゲン化水素,フッ化ホウ素,グリニャール試薬などと分子化合物をつくる.例:R2O・HX,R2O・BF3,R2O・R′MgI.[別用語参照]クラウンエーテル,ポリエーテル
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
…炭素‐酸素‐炭素結合≡C-O-C≡(エーテル結合)を有する有機化合物の総称。狭義にはジエチルエーテルC2H5OC2H5の略称にも用いられる。エーテルの語はギリシア語の,天空にみなぎる霊気を意味するaithērに由来し,古くは光,熱などを伝える媒体として仮想的に考えられた媒質の名称に用いられた。
[分類]
エーテルは一般式R-O-R′(R,R′はアルキル基またはアリール基)で表される。R=R′のものを対称エーテル(単一エーテル),R≠R′のものを非対称エーテル(混成エーテル)とよぶ。…
…すなわち(1)~(3)式はガリレイ変換に対して不変である。一方電磁気学の場の概念の確立に伴い,場の担い手つまり媒質としてエーテルの存在が当然のこととして信じられるようになった。このエーテルは,恒星に対して固定した座標系で静止しており,物体がその中を運動してもそれにひきずられることなく,光はその中をc=2.99×108m/sの速度で伝わるとして多くの事実が説明できることがわかった。…
…サンスクリットのアーカーシャākāśaの漢訳で,一般に大空,空間,間隙などを意味するが,古来インド哲学では万物が存在する空間,あるいは世界を構成する要素,実体として重要な概念の一つである。地・水・火・風の〈四大〉に虚空を加えて五元素ともいわれ,これに五感(香・味・色・触・声)を関連づけるサーンキヤ学派やバイシェーシカ学派の思想のもとでは虚空が聴覚と結びつき,音声は虚空の属性とされた(西洋哲学の〈エーテル〉の概念に相当)。仏教では〈六界〉の一つ(空界)とする一方,実在論的な部派では不生不滅の常住な存在(無為法)に高めた。…
…これらコカインおよびコカイン代用薬が狭義の局所麻酔薬であり,真性局所麻酔薬とも呼ばれるが,次のようなものも広義には局所麻酔薬に含まれる。すなわち,(1)エーテル,クロロホルムなど本来は全身麻酔薬であるが局所麻酔作用を有するもの,(2)疼痛性麻酔薬 石炭酸(フェノール),メントール,キニーネなど局所に投与すると,初めは知覚神経刺激による疼痛を生ずるが,後に麻痺を起こすもの,(3)寒冷麻酔薬 沸点の低いエーテル,クロロホルム,クロルメチルなど気化熱を奪うことによって局部凍結をきたし知覚を鈍化させるもの,などである。麻酔【福田 英臣】。…
※「エーテル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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