日本大百科全書(ニッポニカ) 「オンデンザメ」の意味・わかりやすい解説
オンデンザメ
おんでんざめ / 隠田鮫
軟骨魚綱ツノザメ目の科や属の総称、またはその1種の名称。オンデンザメ科Somniosidae(英名sleeper sharks)は、上顎歯(じょうがくし)がばらばらの棘(とげ)状の歯、下顎歯が隣の歯と連続した小刀状の歯をもつことが特徴である。この科には、オンデンザメ属Somniosusのほかにユメザメ属Centroscymnus、オジロザメ属Scymnodalatiasなど5属があり、すべて深海魚である。オンデンザメ属は両背びれに棘がないことが特徴で、5種が認められ、日本近海にはオンデンザメS. pacificusとカエルザメS. longusの2種が分布する。
種としてのオンデンザメ(英名Pacific sleeper shark)は北太平洋から北極海に分布し、西側は台湾以北、東側は南カリフォルニア以北から知られている。2000メートルくらいまでの深海域に生息するが、ときに浅海にも現れる。オンデンザメは大形で、雌は全長7メートルにも達する。生殖方法は卵黄依存型の胎生である。貪食(どんしょく)で、4メートルくらいのオンデンザメが、140キログラムほどのサケやオヒョウを食べていた例もある。国際自然保護連合(IUCN)のレッド・リストでは、準絶滅危惧(きぐ)(NT)に指定されている(2021年9月時点)。
[仲谷一宏 2021年10月20日]