南アジア語族の意で、インドシナ半島からマレー半島、インド中部にかけて点在し、同系統とみなされる諸言語。その分布に基づいて次のように下位分類される。
(1)モン・クメール語群 ビルマ(ミャンマー)南部のモン語、クメール語(カンボジア語)、カトゥ諸語(カンボジアからタイにかけてのクイ語、ベトナムからラオスにかけてのカトゥ語など)、バフナル諸語(ベトナムのマア語、カンボジアからベトナム南部にかけてのムノン語、スティエン語など)、カンボジアからタイにかけてのペル諸語がここに属するが、この(1)の言語間の親族性の密度がもっとも高い。したがってオーストロアジア語族をさして、広義にモン・クメール諸言語ということもある。
(2)マラッカ語群 別名アスリアン。マレー半島山中のセマン語、サカイ語、ジャクン語。しかしこの(2)の位置づけについては異論があり、またジャクン語のみを除く説もある。
(3)ムンダ語群 インド東部のサンターリー語、ムンダーリー語、中部のカーリア語、クールクー語など。
(4)ニコバル諸語 インド洋上のニコバル諸島の言語。従来、ビルマのサルウィン川流域からシャン諸州、タイ山地にかけてのパラウン語、ワ語、リアン語はニコバル諸語およびインドのアッサム地方のカシ語とまとめて一群とされていたが、最近は、パラウン・ワ諸語、カシ語をそれぞれ独立させて(1)に加える。そのほか、ラオスからタイにかけてのクム諸語(ユムブリ語=ピートンルアン語、クム語など)が新たに(1)に帰属せしめられた。
このようにオーストロアジア語族は、その統一的概念とともにその分類にもまだかなりの流動性がある。ことに問題となる言語として、ベトナム語は、ベトナム北部のムオン語とともに、その語彙(ごい)的類似から(1)に含められたり、また声調をもつ点でシナ・チベット語系のタイ語群に関係づけられたりする一方、ベト・ムオン諸語としてほかからは孤立的に扱われることもある。ベトナム、カンボジアに散らばるチャム諸語(チャム語、ジャライ語、ラデ語など)は、一般にオーストロネシア語族のインドネシア語派に含められるが、オーストロアジア語族の言語を基層として、そのうえにインドネシア語派系の言語の影響を受けてできた重層的言語とする異説がある。モン・クメール語群において、語形は通常 CVC(Cは子音、Vは母音)のように単音節で、このまま語として、また接頭辞や接中辞とともに派生語をつくる(クメール語kat「切る」→k-amn-at「片」、s-kat「切り離す」、ban-kat「分ける」)。語順は主語+動詞+目的語となる。ただしムンダ語群では、接尾辞が一般に用いられ、語形も2音節が多く、語順も主語+目的語+動詞となるため、この語族から除かれることがある。オーストロアジア語族とオーストロネシア語族とをあわせてオーストリック語族とするシュミットP. W. Schmidt以降の仮説は、いまだ十分に証明されていない。
[崎山 理]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
モン・クメール語族に,インド東北部のムンダー諸語およびニコバル諸島のニコバル諸語を加えたものをいう。インドの言語30種程度を含めて,全体で180種程度の言語からなる。この語族の存在を提唱したのはドイツのヴィルヘルム・シュミットである。さらに彼はこの語族とオーストロネシア語族の間にも系統関係を認め,二つの語族を包含するオーストリック語族を提唱した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新