改訂新版 世界大百科事典 「オールドビック」の意味・わかりやすい解説
オールド・ビック
Old Vic
イギリス,ロンドンの劇場。1818年,ウェスト・エンドの劇場街から離れたテムズ川南岸にローヤル・コーバーグ劇場として開場。33年,のちのビクトリア女王にちなんでローヤル・ビクトリア劇場と改称され,オールド・ビックという通称で親しまれた。おおむね大衆的なだしものを上演していたが,1912年にベーリスLilian Baylisが運営責任者となり,質の高いシェークスピア劇上演を始めた。彼女は37年に没し,第2次大戦中に劇場も空襲で破壊されたが,50年再開場,シェークスピア劇上演を続けた。53年から58年にかけて,シェークスピアの全戯曲の上演を達成。63年,新しく結成されたナショナル・シアターの仮の本拠となり,76年まで使用された。それ以後はかつての栄光を失い,おもに地方を巡業していたレパートリー劇団であるプロスペクト劇団の本拠として一時使われたが,劇団が財政難のために80年に解散してからは,ほとんど閉鎖されたままになっている。
執筆者:喜志 哲雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報