カイチュウ(回虫)(読み)カイチュウ

百科事典マイペディア 「カイチュウ(回虫)」の意味・わかりやすい解説

カイチュウ(回虫)【カイチュウ】

世界に広く分布する線虫に属する寄生虫で,一般に小児がかかる率が高い。雄14〜30cm,雌20〜35cmで人体腸内寄生線虫のうち最大。糞便(ふんべん)中の卵が野菜やほこりによって経口感染する。消化系障害や時に異所迷入による症状を呈する。駆虫剤としてかつてはサントニンカイニン酸などが用いられたが,現在はピランテルパモエートなどを用いる。
→関連項目カイニン酸寄生虫駆虫薬センチュウ(線虫)

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版 「カイチュウ(回虫)」の意味・わかりやすい解説

カイチュウ【カイチュウ(回虫) round worm】

線形動物門カイチュウ科に属する人体寄生虫。カイチュウといわれるものには,このほか,カイチュウ科に属する寄生虫として,ブタカイチュウイヌカイチュウネコカイチュウウマカイチュウなどがあり,近縁のヘテロケイルス科に属するアニサキステラノバなどがある。後者は海産哺乳類のカイチュウである。ヒトの小腸に寄生するカイチュウの雌虫は体長20~35cm,体幅4~6mm,雄虫は体長14~30cm,体幅3~4mmと大型のセンチュウ(線虫)であり,古代ギリシアやローマではミミズと混同されていた。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のカイチュウ(回虫)の言及

【寄生虫】より

…文献上でも《史記》の倉公伝など,古くから寄生虫についての記載があるが,寄生虫病についても詳しく記載している《諸病源候論》によると,7世紀初頭には伏虫,蚘虫,白虫,肉虫,肺虫,胃虫,弱虫,赤虫,蟯虫の9種の寄生虫が知られていた。伏虫,蚘虫,蟯虫は,それぞれジュウニシチョウチュウ(十二指腸虫),カイチュウ(回虫),ギョウチュウ(蟯虫)とされ,寸白虫ともいう白虫はジョウチュウの節片ではないかとされている。また蠱毒(こどく)といわれていたものの一部もジュウケツキュウチュウ感染ではないかとされている。…

※「カイチュウ(回虫)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

狐の嫁入り

1 日が照っているのに、急に雨がぱらつくこと。日照り雨。2 夜、山野で狐火が連なって、嫁入り行列の提灯ちょうちんのように見えるもの。[類語](1)狐日和びより・天気雨・雨天・荒天・悪天・雨空・梅雨空・...

狐の嫁入りの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android