カイメン(海綿)(読み)カイメン

百科事典マイペディア 「カイメン(海綿)」の意味・わかりやすい解説

カイメン(海綿)【カイメン】

細胞動物のうちで最も下等な海綿動物総称。一部の淡水産のものを除き,潮間帯〜深海の底に広く分布し,岩石海藻,貝の上などに着生して移動できない。体内には炭酸カルシウムやケイ酸質の骨片が組み合わさっている。体壁にある無数の小孔から水がはいり,襟(えり)細胞のある胃腔を通って上端の口から出される。海岸に普通なダイダイイソカイメンクロイソカイメン,化粧・浴用に用いるユアミカイメン,カイロウドウケツカイメンホッスガイなどが知られる。
→関連項目出芽

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世界大百科事典 第2版 「カイメン(海綿)」の意味・わかりやすい解説

カイメン【カイメン(海綿) sponge】

海綿動物門Poriferaに属する無脊椎動物の総称。体を構成している細胞の分化程度が低く,真の組織器官がまだ形成されておらず,そのうえ神経や筋肉もない系統学上もっとも原始的な後生動物である。系統進化上から後生動物と区別して側生動物ということもある。 カイメンは他物に付着していて運動もしないので,1700年代には植物とされていたほどである。ごく少数の種類は淡水にすむが,大部分浅海に産し種類が多い。

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世界大百科事典内のカイメン(海綿)の言及

【スポンジ】より

…もともと,海中動物であるカイメンを意味する言葉である。カイメンの多孔質の骨格は保水性があり,柔軟性,弾性に富むので,家庭用品として,食器,家具,車の洗浄用ブラシなどに用いられてきた。しかし,高分子工業の発達とともに,カイメンと同様な連続気泡を有し,柔軟性,弾性に富む合成発泡体が低コストで任意の大きさに均一に製造されるようになったため,現在ではほとんど合成品に置き換えられた。 代表的な高分子はポリウレタンであり,軟質ウレタンフォーム(軟質発泡ポリウレタン)として製造,使用される。…

※「カイメン(海綿)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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