クスノキ科(APG分類:クスノキ科)の常緑高木。中国南部、インドシナ原産。高さ約12メートル、葉は表面に光沢があり3本の葉脈が目だつ。小さい黄白色の花が小枝に群がってつき、夏小粒の果実が実る。近縁のシナモンに比べると果実が小粒で、花期後も花被(かひ)が付着していることがあるのが特徴である。また同じく近縁のニッケイよりも果実が小さいが樹高はやや高い。カシアは別名トンキンニッケイといい、日本ではこれがシナモン(セイロンニッケイ)の代用品とされ、一般に肉桂(にっけい)、シナモンと称されて売られている。
[星川清親 2018年8月21日]
樹皮の外側を発酵させ、取り除かずに乾燥したものを別名肉桂、ニッキともよび、香味づけに使われる。さわやかな清涼感と甘味な香りに刺激性の甘味が溶け合った独得の風味を有する。成分は桂皮アルデヒド、オイゲノール、リナロールなどである。薬用にもされる。主成分の桂皮アルデヒドの含有量はシナモンの倍ぐらいあるので香りも強い。京都名物の八ツ橋や、ケーキ、ドーナツ、プディング、アップルパイなどには欠かせない香辛料である。また辛い料理にも広く使われ、カレー料理のたいせつな香味の一つでもある。
[齋藤 浩 2018年8月21日]
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
… さて雲南から中国南部,ベトナム北部にかけての肉桂種がある。キンナモムム・カシアCinnamomum cassiaを中心とし,シナ肉桂(カシア)と通称するものである。中国人が百薬の王者として認めたものであるが,彼らの使用は紀元前後からである。…
…【緒方 健】【新田 あや】。。…
…こうしてヨーロッパ人による大航海時代が展開されたのであるが,すべては南アジアのスパイス獲得と支配から出発したのであった。 と言えば簡単なようであるが,紀元前の古代オリエントとエジプトが,アラビア南部と東アフリカ奥地とつながりがあったのは,乳香,没薬(もつやく)と実体不明の肉桂(シナモン,カシア)のためである。紀元前後にローマ人,ギリシア人が,インド洋のモンスーンを利用しインド渡海を敢行したのは,胡椒を中心とするインドの薬物,化粧料,木綿,中国の絹などの獲得のためであった。…
…また葉からは丁子油に似た桂葉油が得られ,香料,薬用に用いる。中国南部からインドシナにあるカシア(ケイ)C.cassia Bl.からも良質の桂皮cassia barkが得られ,生薬ではこれがよく用いられる。中国では桂枝(径1cm以下の枝)と肉桂(厚い樹皮)が使われたが,日本では区別せずに比較的薄い樹皮を桂皮と称する。…
※「カシア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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冬期3カ月の平均気温が平年と比べて高い時が暖冬、低い時が寒冬。暖冬時には、日本付近は南海上の亜熱帯高気圧に覆われて、シベリア高気圧の張り出しが弱い。上層では偏西風が東西流型となり、寒気の南下が阻止され...
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