カタパルト
〘名〙 (catapult)
※
幻影の盾(1905)〈
夏目漱石〉「甲も棄て、鎧も脱いで
丸裸になって
城壁の裏に仕掛けたる、カタパルトを彎
(ひ)いた事がある」
※通学物語(1941)〈
渋沢秀雄〉父栄一の
諾否「明治六年の
廟堂が父を実業界に飛び出させるカタパルトの
役目を果したことだけは否めない事実だ」
③ 圧搾空気などの力で、物を送る装置。
※旅‐昭和九年(1934)一一月号・優秀船物語〈
今道潤三〉「
郵便物の
輸送のスピード・アップにカタパルトを試用したのはイル・ド・
フランスで」
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デジタル大辞泉
「カタパルト」の意味・読み・例文・類語
カタパルト(catapult)
圧搾空気や火薬などの力で、艦船などの甲板から飛行機を発進させる装置。射出機。
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カタパルト
かたぱると
catapult
火薬、蒸気力、スプリングなどを利用して、狭い場所から航空機を発進させる装置。古代ヨーロッパで使われた武器で、石や槍(やり)を射出する弩(いしゆみ)がその起源。1920年ごろから航空機の離陸促進の方法として実用化され、第二次世界大戦前には艦船からの航空機発進に使われるようになった。第二次大戦までの主流は、航空機を台に乗せて、それを火薬や圧縮空気の力により高速で動かし、その力を借りて航空機を射出するという方式であった。しかし、艦載機のジェット化や大型化が進むと、それでは推進力・距離ともに足りず、蒸気を使うものが考案された。これがスチーム・カタパルトとよばれるもので、今日の通常型航空母艦の標準カタパルトになっている。スチーム・カタパルトは蒸気の力で高速移動するピストンを使い、シャトルを介して航空機とつけ、100メートル弱の距離を走って航空機を放出する。アメリカ海軍の航空母艦で使われているC13‐1カタパルトでは、重量35トンの艦載機を、最終的に時速256キロメートルまで加速して離陸を可能にしている。
[青木謙知]
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カタパルト
(1)古代ギリシア,ローマで兵器とした投石器,石弩(いしゆみ)など。(2)艦船から飛行機を発進させる装置。初め第1次大戦のころ戦艦,巡洋艦などからの偵察用水上機の発進に使われ,第2次大戦後は離艦に高速を要するジェット機の航空母艦上からの発進に主用。動力は圧縮空気,緩燃火薬などもあったが,今日は蒸気が普通で,気筒内を蒸気圧で走るピストンに飛行機を鋼索で結ぶ。
→関連項目艦載機|艦上機|航空母艦
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カタパルト
catapult
(1) →投石機
(2) 航空機を自力で滑走させずに,空中に勢いよく打ち出すことによって浮揚させる,飛行機射出機。圧縮空気,火薬,蒸気などが使われ,滑走車に射出する航空機を載せる。ライト兄弟が動力飛行を行なった際にも,重錘を動力にした台車を使って飛び出した。第2次世界大戦では,飛行甲板をもたない軍艦の艦載機を,カタパルトで発進させた。戦後,艦上機のジェット化により,航空母艦の甲板の上にカタパルトを装置するようになった。アメリカ海軍の航空母艦に装備されているスチームカタパルトは,大型ジェット戦闘機を時速 250kmの速度で発進させる能力をもつ。
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カタパルト【catapult】
古代の投石器,弩(ど)の名称から出た言葉で,航空機の射出装置をいう。第1次世界大戦のころ,航空機を軍艦に積んで使用するために考案されたものであり,第2次大戦では,戦艦,巡洋艦などに広く装備され,偵察,弾着観測用水上機(重量4~5t)の射出に使われた。艦載機の大型化,高性能化が進むにつれて,航空母艦においても,カタパルトの必要性が高まったが,戦後ジェット機(重量20~40t)の出現により,もはや自力発艦は困難になり,急速にカタパルトの装備が普及し,アングルドデッキの採用とともに,効率の良い発着艦が可能となった。
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