18世紀イタリアの画家。本名はジョバンニ・アントニオ・カナルGiovanni Antonio Canal。10月28日ベネチアに生まれ、1768年4月20日同地で没した。父ベルナルド・カナルは芝居の背景画家であり、その手伝いをした記録が1716年から残っている。19年ローマ訪問後、20年ベネチアの画家組合に登録、年代の確かな最初の作品は22年の『墓碑』連作画である。オランダ人のバンビテッリVanvitelliやカルレバリスCarlevarisなどから影響を受け、4枚のベネチア景観図(1725~26)をルッカのステファノ・コンティのために描き、これ以後ベドゥータ(都市の眺望画)の画家として有名になる。『石屋の作業場』(1726~30ころ。ロンドン・ナショナル・ギャラリー)などの作品には自由な筆致と光と影の微妙なコントラストがみられる。カメラ・オブスキュラを使い写実的な実景画を多数描いただけでなく、現実には存在しない配置の絵(カプリッチ)も制作している。後のイギリス領事ジョセフ・スミスの知遇を得、46年以後たびたびイギリスを訪れて風景画を描いた。63年アカデミー会員となる。甥(おい)のベロット(通称は同じカナレット)やグァルディなどに強い影響を与えた。
[篠塚二三男]
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…バロック美術
【18~19世紀】
18世紀は,ベネチアが,印象主義の真の祖とも呼びうる〈ベドゥータveduta(眺望画)〉によって,現代を予告している。カナレット,F.グアルディは,外光の描写を初めて実現した。また,ローマでは建築家G.B.ピラネージが古代ローマの遺跡の版画集を出版し,新古典主義に大きな刺激を与えた。…
…ジャンル的には,とくにベネチア派独自のものとして街景画(ベドゥータveduta)と肖像画をあげることができよう。ヤコポ・ベリーニ以来の人物より環境空間を重視する傾向は,一方ではジョバンニ・ベリーニ,ジョルジョーネ,初期のティツィアーノという抒情的な理想郷的風景表現の系譜となり,他方でジェンティーレ・ベリーニやカルパッチョから18世紀のカナレット,ベロットに至る都市空間を明晰な遠近法で再現する街景画の系譜となって,近代的風景画の中に流れ込んでいく(この中でグアルディは街景画を非現実的な詩的幻想に転じたことで異色の存在である)。一方,肖像画は,ジョバンニ・ベリーニやアントネロ・ダ・メッシナからロット,ティツィアーノ,ティントレットに至る伝統が,濃密な生動感と鋭敏な精神性をたたえた近代的肖像画の源泉として輝かしい光彩を放っている。…
※「カナレット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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